この記事をまとめると
■日本政府がピックアップのフォードF-150の購入を検討しているという報道があった
■トラックのF-150だったことに「なぜピックアップ?」といった疑問の声があがっている
■F-150輸入検討の背景にはトランプ氏の発言が関係しているとの見方が強い
日本政府が購入検討中と噂のフォードF-150ってどんなクルマ?
日本政府が米国フォード製フルサイズピックアップトラックとなるF-150の購入を検討しているという報道が話題となっている。100台程度と台数が限定されるとか、国土交通省の地方整備局に配備されるなどとも報道されている。
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「なぜピックアップトラックなのか?」と多くのクルマ好きから疑問の声が沸いている。F-150といっても、荷台の長さや、フォードでいうところの「レギュラーキャブ(3名乗車)」、簡易的なリヤドアを設けた「スーパーキャブ(5もしくは6名乗車)」、乗用車のようなしっかりしたリヤドアのある「スーパークルー(5もしくは6名乗車)」といった組み合わせがあり、かなり多くの車種数が用意されているのだが、実際に日本政府がどの車種の購入を検討しているのかは定かではない。いずれにしろその大きさからしても前述したような「なぜ?」となっているようだ。
フォードF-150のレギュラーキャブとスーパーキャブとスーパークルーキャブ画像はこちら
オセアニア地域は日本と同じ左側通行であり、しかも左ハンドル車の走行が禁止されており、アメリカ車であっても右ハンドル仕様となっている。過去には日本でも右ハンドル仕様のフォード・マスタングがオーストラリア生産車として輸入販売されていたことがある。フォードF-150も、オセアニア市場では右ハンドル仕様となっているが、オーストラリア生産となるので、右ハンドル仕様を日本政府が購入したとしても、アメリカとの貿易交渉にはなんの効果も発揮しない。つまりアメリカ製左ハンドル車の購入を検討しているものと考えられる。
ちなみに日本でラインアップされているキャデラックのBEVとなるリリックは右ハンドルとなっているが、こちらはテネシー州の工場で生産されたアメリカ生産モデルとなっている。
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ここからは筆者の私見となってしまうが、「なぜフォードなのか?」に関しては、まずはハイブリッドユニットが存在するからかもしれない。F-150とステランティス傘下でクライスラー系ブランドとなるRAMのフルサイズピックアップトラックにはハイブリッドユニット搭載モデルが存在する。GM(ゼネラルモーターズ)系のシボレー・シルバラードやGMCシエラにはハイブリッドユニットが確認できなかった。しかもRAMピックアップトラックはメキシコ製となるので、これも貿易交渉とは無縁となってしまう。
F-150にはBEV(バッテリー電気自動車)となるF-150ライトニングもあるので、「ライトニングを100台」という可能性も否定できないが、トランプ大統領はBEVには否定的な発言が目立っているので、F-150でハイブリッドユニット搭載車を、日本政府は購入するのではないかとも考えている。
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過去にトランプ大統領が「アメリカでもっとも売れているF-150を日本で見かけないのはおかしい」と発言したと報道されてもいるので、「F-150購入検討」という流れにもなっているのかもしれない。
アメリカからアメリカ車、しかもフルサイズピックアップトラック購入を検討するならば、フォードならばエクスペディションやシボレー・サバーバンなど、フルサイズのアメリカンSUVを要人警護車両として購入するほうがわかりやすいが、F-150という車名が出ているのは、トランプ大統領の発言が大きいのではないかとも考えている。
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購入するのはいいが、フォードは日本市場からすでに撤退しているので、購入後のメンテナンスや部品供給体制をどうするのかという話もクルマ好き界隈では話題となっている。
いずれにしても「検討」が本稿執筆時点では報道されているだけなので、日本政府の今後の動きが気になる。