その数なんと6000本! 自販機に飲み物を補充する「ボトルカー」の知られざる中身!!

この記事をまとめると

■ボトルカーとは自販機へ飲料を補充するための専用運搬車である

■側面スライドドアや屋根上積載スペースなど数多くの独自構造をもつ

■中古車市場では多くがいすゞエルフをベースとしたモデルで価格は80万〜300万円前後

全国200万台の自販機を支える影の立役者

 ボトルカーと聞いて、すぐにその姿を思い浮かべられる人はどれくらいいるだろうか。ベンディングカーやルートカーといった呼び方もあるが、じつは毎日のように見かける車両でもある。では正解をいってしまおう、その正体は飲料水運搬車だ。自販機のそばで飲料を補充している姿や、屋根の上に大きなごみの塊を乗せて走っている姿を見たことがあるはずだ。

 自販機に飲料を補充するために走るボトルカーだが、ボトルカー1台で運べる飲み物の本数はなんと約6000本以上。計算上は自販機約200台分に入れられる量の飲料水をボトルカー1台で運搬できるのだ。

 その姿は一般的なバンタイプのトラックのようだが、飲料のみを運ぶということで、業務がやりやすいようにさまざまな工夫が施されている。

 たとえば荷室のドアは側面に設置され開閉はスライド式になっており、これにより狭いスペースでの積み下ろしや荷役作業が可能となっている。一方、後部ドアは跳ね上げ式となっており、昇降用のハシゴも装備される。このほか、荷室の下部に車体後部から運搬用の台車を出し入れできる格納スペースをもつボトルカーも多い。

 ボトルカーはルーフにも特徴があり、荷室上部が積載スペースとなっている。ここには、自販機併設のリサイクルボックスから回収した廃容器を収容することができる。たくさんのペットボトルが詰め込まれた袋を荷室の上に載せている姿を見る機会は多いが、その姿もボトルカーの特徴といえる。もちろん走行中に落ちないように落下防止用ネットなどの装備もある。

 さらに、一番重要な荷室内だが、内部のレイアウトを自由にオーダーできるのもボトルカーならでは。荷役運搬する商品や配送ルートに合わせて荷室内のレイアウトを変えることで作業の効率化が図れるのだ。

 こうしたボトルカーだが、運搬物が重量のある飲料水のため、ベースとなるトラックは積載量に余裕がある3トンクラスが採用されることが多い。また、積載性や荷役性を考慮して全低床シャシーが基本とされるが、これといった決まりがあるわけではなく、ケースバイケースで作業場所に合った車両が製作されている。

 ちょっと気になったのでボトルカーの中古車が販売されているかどうか、中古車サイトをのぞいてみると、面白いことがわかった。出品されているボトルカーは積載量に差はあるものの、ほとんどがいすゞエルフであること。ベースの積載量は2トンもしくは3トンであり、価格も80万円程度から300万円弱と、思ったよりも高くなく、中央値は170万円前後だろうか。

 また、走行距離も3万kmから20万kmと差はあるものの、普通のバンタイプのトラックと比較すると若干走行が少なめの車両が多いような印象を受けた。

 全国に設置してある自販機の数は約200万台。そのすべてで、いつでも気軽に飲料水が購入できるのもボトルカーのおかげなのだ。飲料の装填作業中にはスライドドアを開けていることも多いので、タイミングよく見ることができたら荷室のなかを見ていただきたい。どこに何があるか、非常にわかりやすく飲料水の箱が並べられていることがわかるだろう。ただし、業務の妨げにはならないよう注意してほしい。


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