ジャパンモビリティショーは大成功の陰にある「日本の頑張り」と「中国の失速」 (2/2ページ)

世界の視線が再び東京へと戻りつつある

 かつて東京モーターショーは、9月にドイツでのIAA(当時はフランクフルトモーターショー)、11月下旬には広州車展と、2つのショーに開催時期が挟まれていた。中国がアジアの自動車産業の中心であるという風潮も強まり、東京モーターショーから中国の三大オートショーがアジアを代表するオートショーのような認知を受けるようになっていった。

 するとワールドプレミアどころかアジアプレミアも広州車展で頻繁に行うようになり、東京モーターショーでは減少傾向が目立つ形となった。さらに外資ブランドの不参加も相次ぎ、東京モーターショーの地盤沈下は顕著となっていった。

 しかし、初回のジャパンモビリティショーが開催された2023年ごろになると、中国経済の失速が目立っていた。経済が失速するなか、政府による過度な愛国心の啓発のなかで自国自動車産業が成長してゆき、中国の消費者も自国ブランド車を好んで乗るようになると、新車市場のガラパゴス化も進み、外資ブランド車が売りにくくなっていった。現実としてすでに中国市場から撤退している外資ブランドも出てきている。

 そこで日本の自動車市場自体が世界で再注目されるようになっていき、ジャパンモビリティショーが注目されることとなった。とはいっても、外資ブランドも懐具合があまりよくないところも多いのだが、そのなかでも出展する外資系ブランドではアジア初公開モデルなど目玉展示車を積極的に展示するようになっている。

 2025年春に、上海車展へ取材に出かけた。会場自体は相変わらず広大な面積を確保していたのだが、外資ではステランティス系ブランドは出展しておらず、自国中国系ブランドでも出展していないブランドが目立っていた。展示面積は従来並みのようだったものの展示会場はスカスカ感が強く、以前よりは身体への負担も少なく時間もかからず見てまわることができた。

 中国は経済の深刻な減速ムードが続くなか、外資ブランドは「撤退やむなし」といったムードとなっているようす。欧州はさまざまな社会問題を抱えるなか、「BEVありきはやめよう」という雰囲気もあり、なにやらカオス状態となっている。そのなか世界的にHEV(ハイブリッド車)が注目される日本車だけではなく、日本市場自体が再評価されているのだなという雰囲気を筆者は感じている。

 出展する外資ブランドの数は別としても、日系ブランドの展示をメインにモビリティショー自体は世界から注目され、多くの海外メディアも訪れるようになっている。自動車ショーのありかたとしてもおそらく世界的に注目されているものと考えている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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