商用車は自動車税が半額以下ってマジか! 乗用で使うとめちゃくちゃ美味しい感じもするけど「デメリット」もけっこうあるので要注意!! (2/2ページ)

安く購入できる一方で装備も簡素化されている

 乗用車に対して機能を省くことは車両価格を下げることにもつながる。安く買えて、長く使えるのが商用車といえる。しかしながら、そうした面は諸刃の剣だ。

 エアコンがマニュアルタイプであるくらいは我慢できるというか、むしろオートエアコンより好ましいと感じるユーザーもいるだろうが、NVH性能の差はけっこう大きい。

 前述したように、商用車は内張りを省き、鉄板むき出しとなっている。これはラゲッジとしての使いやすさ、棚を設置するなどカスタマイズのしやすさという実用面ではメリットとなるが、遮音性能が犠牲になっていることが多い。

 タイヤが発する音など走行ノイズは、乗用車に比べると盛大に入ってくる。筆者個人の印象でいえば、高速巡行時に音楽を楽しむには、けっこうボリュームを上げる必要があると感じる。

 断熱性能についても同様だ。なんの対策もせずに車中泊をしていると、とくに冬などは外気温と変わらないと思えるほど車内は寒くなる。断熱材や遮音材を追加するといったカスタムもあるが、根本的な部分で乗用車同等の快適性を実現するのは難しい。

 荷物を積むことを前提とした商用車には、乗り心地の硬さという問題もある。それなりの積載量があってバランスするようサスペンションが設計されているため、空荷状態では後輪が跳ね気味に感じることもあるだろう。

 また、商用車として認められるためには、後席より荷室が大きくなければならない。キャビンに余裕があるように見えても、後席スライド機能をつけることはレギュレーション的に難しいし、そもそもヘッドレストもないようなチープな後席であることも多い。これは座り心地をスポイルする要素であり、後席に人を乗せることが多いのであれば、この点を許容できるかどうかを考えておくべきだろう。

 さらに、1ナンバーの商用車を普段使いするならば購入前に知っておきたいのが高速道路における通行料金の違いだ。たとえば、首都高の料金は以下のような1kmあたりの単価が設定されている。

 軽・二輪:23.616円 普通車:29.52円 中型車:35.424円

 基本的に1ナンバーの商用車は「中型車」の料金となる。つまり、軽商用車や4ナンバーの1BOXやバン(普通車に分類される)より通行料金が高くなるのはもちろん、3ナンバーの乗用車よりも高い料金を払う必要がある。

 このように、1ナンバー車の通行料金が高くなるのは全国の高速道路でも同様だ。すなわち走行距離が長くなるほど、その差は大きくなる。この点はランニングコストを押し上げる要素なので、1ナンバーのクルマを購入するときには覚悟しておきたい。

 とはいえ、商用車だからこそのシンプル&チープな部分は、カスタマイズを楽しみたいユーザーや、自動車にミニマリスト的要素を求める人にはおすすめできる。ここで紹介したメリットとデメリットを天秤にかけて許容できるというのであれば、日常使いする愛車として商用車を迎えても満足度は高いことだろう。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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