クルマ好きたるもの人と被るのは嫌! でも家族も乗せなきゃだし……だったら選ぶしかない輸入ミニバンのススメ!! (2/2ページ)

ドイツ・イタリア・フランスのお国柄も感じられる欧州MPV

 世界のミニバンの王者の風格を味わいたいなら、本国ドイツではビジネスバンとして活躍しているメルセデス・ベンツのVクラスで決まりだ。面構えの迫力もさることながら、全長5155×全幅1930×全高1930mmの巨体ゆえ、標準仕様でも室内空間と荷室の広さは圧巻のひと言。エクストラロング仕様ならなおさらだ。シートアレンジは多彩で2/3列目席回転対座ができるのもVクラスの伝統(後席シート脱着も可能)。

 FRレイアウトで2リッターディーゼルエンジン+9速ATのパワーパックによる走りは、ディーゼルエンジン特有の音や振動を感じにくいもので、トルクフルなエンジン特性によって2.5トンもの車重をもろともしない加速力を重厚な乗り味とともに発揮してくれる。直近のMCでは装備がグレードアップされ、さらに世界のミニバンの王者の資質を高めている。価格は961万円からだが、最上級を望むなら、1382万円に達するV 220 d EXCLUSIVE long Platinum Suiteもある。

 いやいや、輸入ミニバンが欲しくても、そこまでの予算はない……というなら、400万円台から買えるフォルクスワーゲン・ゴルフトゥーランがある。2016年に日本に上陸して以来、もう9年目となるゴルフVIIベースのリヤスイング式ドアの3列シートミニバンだが、何より日本の道で使いやすい全幅1830mmのボディサイズが輸入ミニバンとしては貴重。

 さすがに全長4535mm、ホイールベース2785mmの車体だけに3列目席は子ども用、緊急席的で、普段は畳んで大容量ゴルフヴァリアント(!?)として使うのが正解(いい方を変えれば3列目席を使うと荷室は奥行き330mmのミニマムスペース)なミニバンとはいえ、子育て世代、子どもが小学生ぐらいまでならこれでも3列シートミニバンとしてしっかりと機能してくれるはず。

 走りはドイツ車、フォルクスワーゲンらしいしっかりどっしりとした剛性感たっぷりのドライブフィール、乗り味のもち主で、TSI Evoと呼ばれる1.5リッターターボエンジンのスムースさ、図太いトルク感、そしてゴルフヴァリアントより高い着座位置によって走りは爽快かつ安心感が極めて高いドライブが可能。

 以前はTDIと呼ばれるディーゼルモデルもあったのだが、今ではTSI、1.5リッターのガソリンターボ+7速DSGのみのラインアップだ。お薦めはズバリ、17インチタイヤになるハイライン。走りの質がコンフォートラインまでの16インチタイヤ装着車とは別物になり、よりドイツ車、VWらしい走りが味わえるのだ。

 ゴルフトゥーランもジャストサイズでいいけれど、ほかの選択肢はないのだろうか……という向きには、ステランティスのイタフラ勢がいる。兄弟車のシトロエン・ベルランゴ、プジョー・リフター、そしてフィアット・ドブロのLONGは、全長4770×全幅1850×全高1850mm(ベルランゴ)の3列、7シーターのMPV(ミニバンとは呼ばない)。いずれも想像以上にスムースかつトルキーに走ってくれる1.5リッターディーゼルターボエンジンを組み合わせ、また、アグレ・ベッドキットという車中泊対応のアイテムも用意され、アウトドアユースにもしっかりと応えてくれるのだ。

 国産ミニバンのような「なんでもあり」の装備は期待できないが、シートアレンジ性は多彩だし、先進運転支援機能も充実しているから、まわりとカブりにくいオシャレな3列シートMPVとして、普段使いからアウトドアまで、幅広く活躍してくれること間違いなしである。一部の国産ミニバンとは違い、生活臭が感じられないのもここで紹介した輸入ミニバンならではだろう。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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