どんな脳みそで考えるとこんなクルマができるんだ!? 奇才パトリック・ルケマンが作った「独創性の塊」なルノー車4台 (2/2ページ)

独創性に溢れるクルマを多数生み出す

●ハッチバックの概念を変えた傑作

 次に取り上げるのは、2002年登場の2代目メガーヌです。「退屈へのレジスタンス(抵抗)」というコンセプトによるボディは、前年に登場したアヴァンタイムの要素を大きく反映させたもの。

 とりわけ、3ドアハッチバックは文字どおり「ミニ・アヴァンタイム」といえるもので、垂直のリヤウインドウや突き出したリヤゲートパネルが目を引きます。見方によってはノッチバックの変形版にも見えますが、シャープなラインと面で構成された造形は見事で、2003年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー受賞にも頷けます。

●レースカーに注ぎ込まれた独創性

 最後に取り上げるのは、1996年に登場したルノー・スポールスパイダーです。ご存じのとおり、そもそもワンメイクレース用のマシンとして開発、これをロードカーに仕立て直したスペシャルスポーツです。

 トゥインゴの3年後に登場したボディは、同様に曲面基調であることが特徴。とくに、往年のアルファロメオ33ストラダーレを彷彿とさせるヘッドライトは豊かなボリューム感が見所です。一方、サイドシルからリヤパネルへの別色パネルはアヴァンタイム的な手法で、スパルタン一辺倒になるのを防ぐ妙案。丸型のテールランプまわりは極めてシンプルで、そこはレースカーらしい機能性を感じさせます。

 さて、奇才や鬼才と称されるデザイナーとしては、たとえばBMWで活躍したクリス・バングルの名前も挙がりますが、両氏に共通しているのは卓越したオリジナリティで、ボディ構造そのものから変化を与える独自の発想力です。

 近年では、目立ったラインや奇抜な顔などで新しさを打ち出す例が少なくありませんが、本物の独創力でカーデザインに歴史を刻むようなデザイナーの登場を期待したいところですね。


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すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
趣味
オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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