あえてクルマで個性を演出することもある
旧車を使うのはアメリカでも傾向は同じ。主役が1970年代のフルサイズのアメリカ車に乗っている設定などはお約束となっている。
日本でも1990年代後半に放送されていた「マイアミバイス(20世紀最高のクライムアクションと筆者は思っている)」でおなじみのドン・ジョンソン氏が主演を務めた「ナッシュ・ブリッジス」では、主役の刑事ナッシュ・ブリッジスが劇中にて黄色のプリムス・バラクーダに乗っていた。
1971年式のプリマス・バラクーダ画像はこちら
これはナッシュのお兄さんがベトナム戦争に従軍する際に、弟のナッシュに自分のバラクーダを託し、その後消息不明となってからも大切に預かっているという設定があって使用されていた。メジャーなダッジ・チャレンジャーではなく、あえて兄弟車のバラクーダだったところにアメリカ車ファンが反応した。
また、同僚刑事がフォード・ランチェロに乗っていた。ランチェロ(確か6代目)は、乗用車となるフォード・トリノをベースとしたセダンピックアップとなる。このセダンピックアップではGM(ゼネラルモーターズ)のシボレー・エルカミーノが有名で、よく劇中でも使われるのだが、あえてランチェロを使っているところに、また多くのアメリカ車ファンがこだわりを感じていた。
1972年式のフォード・ランチェロ画像はこちら
ちなみにドン・ジョンソン氏の代表作でもあるマイアミバイスで相棒刑事役のリカルド・タブス(フィリップ・マイケル・トーマス氏が演じた)の愛車は、巨大なボディとテールフィンが特徴的な1964年式キャデラック・ドゥ・ビルとなっていた。
日本では1990年から1992年に放映された水谷 豊氏が主演を務めた「刑事貴族」シリーズの2と3で、同氏が演じる本城慎太郎が英国車のバンデンプラ・プリンセスを愛用しており、当時の中古車市場で注目の的になったことがある。水谷 豊氏といえば、劇中にあまり登場しなくなったが、「相棒」シリーズで主役の杉下右京警部が日産フィガロを愛用している。
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ドラマでは主役にコマーシャルでは商品に現行車が使われることが少ないのには、「現行車では色がつきやすい」など、おもに大人の事情で旧車が使われることも多いようだが、たとえばフォルクスワーゲン・タイプ1や2などの定番旧車ではなく、あえてそこをはずした旧車をセレクトしていると「こだわっているなあ」と、ドラマ、コマーシャルなどで旧車も含めて登場してくるクルマを自分なりに分析して楽しんでいる。
これから40年や50年後に、いまの現行車のどんなモデルが旧車としてもてはやされているのかとも思いを巡らせてしまってもいる。