時期RX-7とも噂された「アイコニック SP」の計画は立ち消えたってマジ? マツダのロータリーエンジン搭載「コンセプトカー」って全然実現しないけどどうなってる! (2/2ページ)

じつはこんなにあったRE搭載のコンセプトカー

 思えばマツダは、これまでいくつもロータリーエンジンの搭載を想定した印象的なコンセプトカーを披露してきた。いくつかをざっと振り返ってみよう。

 2015年公開の「RX-VISION」も、なかなかインパクトがあった。マツダのスポーツカーの歴史を凝縮し、世界一美しいFRのプロポーションを目指し、キャラクターラインを廃しながらボディサイドへの映り込みにも大いにこだわり、生命感あふれる造形を実現したとのふれこみだった。

 ボディサイズは4389mm×1925mm×1160mmと低くワイド。全長はそれほど長くないがホイールベースは2700mmと長く、それでいて2シーターだ。「SKYACTIV-R」を搭載するからこそ実現するという圧倒的に低く長いボンネットも印象的だった。

 しばしもどって、2000年代半ばごろから、マツダは、静止していても動きを感じさせるというテーマで、動き、エネルギー、軽やかさといった要素を、“流れ”として造形やラインで表現するデザイン哲学の「Nagare(流れ)」を提唱していた。

 それを2006年の「流(ながれ)」を皮切りに、「琉雅(りゅうが)」、「葉風(はかぜ)」、「大気(たいき)」、「風籟(ふうらい)」という一連のコンセプトカーを立て続けに披露した。

 第1弾である2006年の公開の「流」は、流れるようなボディラインやサイドのキャラクターラインが特徴的で、前席中央にひとり、後席に3人という異色の4人乗りレイアウトの採用も話題となった。

 続く「琉雅(りゅうが)」、「葉風(はかぜ)」はロータリーエンジンの搭載を想定していなかったが、第4弾の「大気」はなかなか衝撃的だった。

 排気量を800㏄×2に拡大し、アルミサイドハウジングを採用した新開発の直噴ロータリーエンジン「RENESIS(~16X)」をフロントに搭載しており、空気の流れが目に見えることを表現したというデザインは、それまでのNagareデザインとは別物で、とくにリヤまわりのデザインが非常に特徴的だった。

 さらに、2008年デトロイトショーで公開された、「Nagare」デザインの集大成となる、「風籟(ふうらい)」もすごい。コンセプトカーというのはデザインスタディ的なものが多いところ、「風籟」は違って、見た目も迫力満点だが、アメリカン・ル・マン・シリーズ参戦車両のシャシーをベースに軽量なカーボンボディを組み合わせ、実際にレースマシンのようにサーキット走行が可能なレベルに仕上げられていた点にも注目だ。

 エタノール100%(E100)燃料を使用する最高出力450馬力の3ローターエンジンをフロントではなくミッドシップ搭載し、フロントオーバーハングが短くドライバーを前寄りに配置したキャビンフォワードレイアウトとされていたのも他モデルとは一線を画する。

 ところが、某海外の媒体の取材でテスト走行中に火災を起こし全焼となってしまい、しかしその事実が5年もの間、隠されていたというから残念でならない。その後はアメリカの倉庫でそのまま保管されているらしい。


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岡本幸一郎 OKAMOTO KOICHIRO

モータージャーナリスト

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