若者たちから使われなくなった表現がある
BMW MINIはいまだに「ゴーカートフィーリング」が製品PRでもよく使われているが、オジサンの思い出話のように、最近あまり積極的には聞くことの少なくなったフレーズがある。
まずはBMW車でよくいわれていた「シルキー6」。V6(V型6気筒)ではなく、直6(直列6気筒)にこだわったBMWの直6エンジンは改良を重ねた結果、振動の少ない静粛性の高さにとくに特徴があることから「シルクのような直6エンジン」ということで「シルキー6」と呼ばれるようになった。
BMW 3.0CSの走行シーン画像はこちら
「BMW=直6」みたいな雰囲気が日本でも長く続いたが、ここのところでは、ディーラーでセールスマンに「シルキー6」といってもスルーされてしまいショックを受けたこともあった。
まるでレールの上を走行しているように、安定してまっすぐ走る様子を「オン・ザ・レール感覚」と表現する。メルセデス・ベンツ車の走行フィーリングを語るときによく使われてきたもので、メルセデス・ベンツ車の優れた直進安定性の表現方法のひとつとして使われていた。
メルセデス・ベンツ190クラスとEクラスとSクラス画像はこちら
冗談として聞き流したのだが、その昔に知人が「メルセデス・ベンツのオン・ザ・レール感覚を試すため高速道路で手放し運転をしたけど、確かにその安定性は抜群だった」と語っていた。
ちょっと方向性は異なる話にもなるのだが、メルセデス・ベンツのディーラーで「ドイツ車ならやはりメタリック塗装でしょう」とセールスマンに伝えたら、「いまはホワイトが主流ですよ、メタリックはシルバーでも下取り査定額が下がることがあります」といわれ、バブル経済を引きずっていた自分にショックを受けたことがある。
ここに紹介した表現方法が廃れてきているというつもりはないが、若い世代にはあまり馴染まなくなっているのではないかと筆者は考えている。量販BEVも多数登場しており、自動車産業が100年に一度の変革期に入ったといわれて久しい。クルマにまつわる性能などのポイントや表現方法も、今後は変革期に入っていくのかとつい考えてしまった。