三菱ふそうが目指す「BEV商用車」の普及! eキャンターの製造工場から「ふそう」の本気っぷりが伝わってきた (2/2ページ)

商用EVの普及課題を総合的に解決

 こうしてeキャンターの生産を進めるだけでなく、バッテリーのライフサイクル全体に視野を向けたマネジメントにも三菱ふそうは注力する。

 具体的には、高品質なバッテリーを製造するところから始まり、「ファーストライフ」としてそれを搭載したeキャンターのカスタマーサービスにおいて、CMSによるバッテリーの劣化防止、状態のモニタリングといったデジタル技術の提供によって利用効率を向上。次いで「セカンド/サードライフ」として、eキャンターで使わなくなったバッテリーを蓄電池などの用途で二次利用。そして、そこでも役目を終えたバッテリーからは原材料を回収し、新たなバッテリー製造時の価格低減に繋げる……という循環型のライフサイクルを目指す。

 その実現のため、業種とのパートナーシップが進められる。前述の「セカンド/サードライフ」におけるバッテリーの二次利用においては、エネルギーソリューションベンチャーのCONNEXX SYSTEMSと協業。

 EVの普及に欠かせない急速充電器を設置するためには、高電力の電源が必要となる。それには送電線の高電圧化など時間やコストが必要な場合も多い。そこで活用されるのが、インフラ投資の必要がないリチウムイオン電池を活用した蓄電システムであるが、これにも高いコストがかかるという課題があった。

 そこでCONNEXX SYSTEMSは、低価格かつ海外依存のない中古EVバッテリーに着目。複数の蓄電池を一体化して相乗的に性能を向上させる同社の特許技術”BIND Battery”を活用し、改造なしでEVバッテリーを低値型電源同等の1500Vに昇圧、蓄電システムとしての利用を可能としている。

 “EnePond”と呼称されるこの蓄電システムの実機を見ると、その内部にはeキャンター(第1世代モデル)で利用されていたリユースバッテリーが並んでいる。なお、このEnePondはEV急速充電器のみならず非常用電源としての活用岐路もあるという。

 eキャンターで使用されたバッテリーは、通常70%程度までバッテリーSOH(State Of Health=寿命状態)が劣化するとEnePondのような蓄電システムで再利用され、そこではさらにその70%、つまり初期状態の49%程度まで利用される。

 そうして寿命をまっとうしたEVバッテリーをリサイクルする段階では、シンガポール初のスタートアップであるTrue 2 Materials社とタッグを組む。同社は、使用済み・廃棄バッテリーを正負極材・電解質に再生する技術「トータルマテリアルリカバリー(TMR)」を提唱する。

 従来の乾式・湿式精錬によるリサイクル手法とは異なるナノレベルの分子技術を活用しており、原料ロスを最小限に抑えるとともに資源価値を維持しつつ、環境負荷の低い方法でバッテリーを材料に復元できるとされ、結果として高価で希少なバッテリー材料の価値を最大限に保てるという。現在川崎製作所の実証プラントにて実用化に向け検証中とのことだ。

 高品質なバッテリー製造から一連の運用、蓄電用途への二次利用、TMR技術を用いた再資源化までを含む循環型バッテリー戦略を構築する三菱ふそう。電動化時代の商用車業界のイニシアチブを握ってゆくことが期待される。


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