自動車メーカーが巨額の資金をつぎ込んで「最高」の状態に仕上げたクルマをわざわざ崩すって……一般人からしたら気が知れない! 自動車カスタムに手を出す人の心理とは (2/2ページ)

カスタム文化はクルマ業界にとって貴重な存在

●仲間になりたい

 これは上記のカブりたくない方々にも通じるのですが、週末の大黒ふ頭にドライブしたら、「自分と同じクルマが楽しげに集まっているけど、どれもカスタムされている」、しかも、「カスタムの方向性が自分にも合ってる気がする」みたいな経験から「やつらと仲間になりたい」、ひいては「もっとスゲー改造してマウント取りてー」といったサイクル。

 流行りの同調圧力ならぬ、同調志願というやつ。ちょっと前に、集会しているBMW仲間のほとんどがライトにイカリングを仕込んでいたり、峠の麓にいたロードスター数台が同じ軽量ホイールを装着していたりするアレです。

 とはいえ、仲間になりたいから、マウント取りたいへ進み、ついにはオレ至上主義へと突っ走っていく例もカスタム界隈ではよくあるケース。ささいなきっかけ、たとえば同じステッカーを貼るとか、同じドリームキャッチャーをぶらさげるといったことから沼っていくので、注意するに越したこたありません。

●ずばり若返りたい

 最新のカスタム事情を探っていくと、50~60歳代のクルマユーザーによる金に糸目をつけない改造がにわかにブームとなっているのだとか。とりわけ、若いころにカスタムをかじって、年を取ってからぶり返す「リターンカスタマー」がゾロゾロと現れているようです。

 で、リターンというニュアンスからもお察しのとおり、彼らのモチベは「若いころを思い出す」とか、「若いやつらに負けたくない」から「若さがなんだバカヤロー」的にジワるもの。ですが、これはこれで「昔取った杵柄」とか「三つ子の魂百まで」といったニュアンスで、あながちネガとも受け取れません。

 また、若い方々のクルマ離れも騒がれるいま、カスタム文化、ひいてはモーターカルチャーのけん引役となってくれる高齢層は、クルマ業界にとっては大切な存在に違いありません。やがて、そうしたリターン層も減少していくことは避けられませんが、それまではぜひとも爪痕を残していってほしいものです。

 ノーマルが最上なことは百も承知ではありますが、オレ流カスタムの奥底にあるものは決して悪いことばかりではないのですから。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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