単なるサプライヤーで終わらない「アステモ」の野望! インホイールモーターの試作車が想像以上に明るい未来を見せてくれた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■アステモはホンダの意向を受けて統合したメガサプライヤーだ

■同社ではインホイールモーターの開発を進めている

■2030年以降に実用化されるスケジュールだ

メガサプライヤーを目指すAstemo

 いいクルマを作るには、自動車メーカーだけの頑張りでは事は進まない。最近は中国などから続々と新しいクルマが誕生しているが、その背景にはサプライヤーという専門性の高い企業の存在があることを忘れてはいけない。とくに近年のように電動化と知能化という新しい技術が求められるほどに、サプライヤーの重要性は高まってきている。

 ひと昔前までは、その国の工業力を示すのは、鋼板を供給する製鉄業、ゴム・樹脂を生む化学素材の企業、また高精度の工作機械を提供する企業などが主流だったが、新しい価値を生み出す電動化時代は高度なソフトウェアや半導体、あるいはバッテリーやモーターなどの新領域の技術も重要となってくる。

 こうした流れのなかで、いままで以上に多岐にわたる技術領域を統合する動きも活発化している。ドイツのサプライヤーは各領域の専門企業が統合し、メガサプライヤー化を推進させ、グローバルに展開している。日本ではトヨタを中心とする西地区のサプライチェーンが存在するが、最近はアイシンとデンソーが中心となって、機能を統合制御する水平業化が活発化している。

 ところが、ホンダや日産のホームグラウンドである東地区のサプライヤーは西地区ほど元気がなく、いままではサプライヤーが個々に存在していたに過ぎない。そこで日立オートモーティブを前身とする新しいサプライヤーがホンダの意向を受けて統合し、日立アステモというメガサプライヤーが誕生した。筆者は何度かワークショップに参加したが、今年の4月に「日立」が社名からなくなり「Astemo(以下:アステモ)※1」に生まれ変わり、東のメガサプライヤーとして存在感を増してきている。

 アステモは2023年のJMSで、大々的にティア0.5を目指すコンセプトを発表し、多様な技術を紹介していたが、2025年は明確に「統合制御」を謳っていた。2025JMSの直前には栃木県塩谷にあるテストコースで技術ワークショップを開催し、SDV時代の新価値を目指すテクノロジーを公開した。この記事では、その詳細をリポートする。

※1:Astemoの略「Advanced Sustainable Technologies for Mobility」


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