この記事をまとめると
■新型プレリュードの販売が発売1カ月で約2400台と好調だ
■そんな新型の前世代モデルである5代目プレリュードに試乗
■タイプRとの安易な比較では掬えない独自性が際立っていた
復活前最後のプレリュードはどんなクルマだった?
新型ホンダ・プレリュードが好調だ。2025年9月5日に発売が開始されてから1カ月間での販売台数は、月販目標の8倍となる約2400台を記録。このような趣味性の高いクルマが売れているというのは、いちクルマ好きとして素直に喜ばしい。
6世代目を数えるこの新型プレリュード、世間では「令和のデートカー」なんて喧伝されている。巷の定義に従えば”Z世代”にカテゴライズされてしまう僕などは、「クルマでモテるっていまどき……」なんてため息混じりに思ってしまうのが正直なところなのだが、編集部のオジサマたちの話を聞けば、2代目・3代目プレリュードが全盛だった当時は、そりゃあもう売れるわモテるわでスゴかったらしい。世がこうして盛り上がるのも納得すべき、というよりむしろ歓迎すべきことなのかもしれない。
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そうして2代目・3代目とデートカー路線で大ヒットを飛ばしたプレリュードは、4代目でスポーツクーペへと大きく舵を切ったが、バブルが弾けたこともあり販売は振るわず。続く5代目で再起を図るも、スペシャルティカーというカテゴリー自体が下火だったのだろう、2001年の終売をもってプレリュードはその歴史に一旦幕を下ろすことになった。
翻って、23年の空白を破って登場した新型プレリュード。アコードをベースとし、2ドア・ノッチバッククーペスタイルを採っていた歴代モデルに対し、新型はシビックベースの3ドア・ハッチバッククーペスタイルとなる。ホンダ自身も、もともとプレリュードを復活させようというスタートラインではなく、開発の過程でその名が与えられたと公言して憚らないが、では果たしてプレリュードらしさ、あるいはプレリュードとしての連続性は保たれているのだろうか?
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そんなことが気になって、今回は復活前最後のモデルとなった5代目プレリュードを敢えて俎上に載せてみようと思う。
改めてその佇まいを眺めると、シャープな面構成で構成されるスタイルは清廉な印象で、それでいて縦長のヘッドライトが特徴的なフロントマスクにはどこか愛嬌も感じられる。オラついているわけでもなく、かといって野暮ったいわけでもなく、いま見ればなかなか絶妙なスタイリングではないだろうか。
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車内を覗くと、インテリアカラーはブラック/レッドのツートンとなっている。少しバーガンディのような暗めのレッドの色味と、大胆なカラーの切り替えが目に快い。インパネやシートが奇を衒ったところのないプレーンな造形だから、これくらい色で遊んでも胸焼けがしないのだろう。
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このおそろしくキレイな車両を用意してくれたのは、モデューロブランドでお馴染み、ホンダの純正アクセサリーを手がけるホンダアクセスだ。新型プレリュードでエアロパーツ等の純正アクセサリーを展開する同社は、この5代目プレリュードで初めてフルエアロパーツを開発。現代まで息づく「リフトバランスを整える」という思想が生まれたのもこのモデルからだった。
そこで、ホンダアクセスは新型プレリュードの発売を機に5代目プレリュードをフルレストア。当時のエアロパーツや純正アクセサリーをそこかしこからかき集め、製廃になったステッカーやエンブレム類は、3Dプリンターなどを駆使してほぼ完璧に復元しているのだから恐れ入る。
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