「カローラらしさ」を排除したが……それでいい! 歴代カローラセダンを乗り継ぐマニアのライターが「カローラコンセプト」を激推しするワケ (2/2ページ)

次期カローラの市販が待ち切れない

 東南アジアでは、タイやインドネシアなどの多くの国で日本車の販売シェアが際立って高まっている。しかもその日本車のなかでも圧倒的なシェアを誇るのがトヨタで、それにホンダが続いているイメージとなっている。

 インドネシアではいまでも日本車の販売シェアは9割ほどとなっており、タイでも7割超となっている。そのタイで聞いた話では、街なかではトヨタやホンダのクルマがかなり頻繁に走っており、さらにそのなかでも一部の車種が目立って多いとのこと。そのため、隣近所でも乗っているクルマが同じ人が多いそうで、違いをつける意味でもカスタマイズが盛んに行われるとのことであった。

 そのなか、中国メーカーがBEV(バッテリー電気自動車)という飛び道具を携えてタイ市場に進出してきたので、感度のいい都市部ほどほかとは違うという物珍しさも手伝って一気にブレイクした。しかし、いまでは一過性のブームが去ったような状況で厳しさが目立ってきているともいわれている。あた、日本車も同じようなクルマばかりという消費者の反応も意識したのか、社会の多様化も反映させて車種ラインアップを増やしてきている。

 タイでは中国系のBEVからトヨタやホンダのHEV(ハイブリッド車)へ回帰傾向が目立ってきているのだが、とくにトヨタ車では、最近はモデルチェンジのタイミングなどでエッジの利いたデザインを採用してきているので、トヨタに対する消費者イメージもだいぶ変わってきているようだ。その意味ではトヨタユーザーの年齢は若返り傾向が目立っているように見える。

 一方で、メルセデス・ベンツはエントリー系ともいえる乗用車系(SUVは別)FFモデルの車種整理をはじめた。すでにAクラスセダンは生産終了し、2026年にはA及びBクラスの生産終了を予定しているのだが、Aクラスは2028年まで延命となったとの報道もある。それでも今後は、メルセデス・ベンツのFFモデルはCLAのみとなり、CLAがエントリーモデルとなるようなので、ユーザー層の若年化ではなく、従来路線を再踏襲するようになったのかもしれない。それともある程度ユーザーの若返りが果たせたという判断なのだろうか(SUVではGLAは継続生産されるようなので、そちらに若返りは任せた?)。

 フォルクスワーゲンは、得意のアメリカ市場でも苦戦し、中国市場でも苦戦している。中国では今日の外資との合弁事業の先駆者として、フォルクスワーゲンがサンタナの現地生産を始めていた。年配層には若いころの憧れであり、改革開放経済の象徴でもあるのだが、若者から見れば、タクシーや社用車、公用車としてフォルクスワーゲンは多く走ってきたこともあり、古めかしいブランドとなってしまったのである。アメリカでもそもそもSUVやBEVに乗り遅れた経緯もあり、従来の路線を改めることができずに若年層からは距離を置かれてしまっているように見える。

 JMS2025でカローラコンセプトを見た限りでは、世界販売台数でトップを競うほどの大規模量販メーカーでありながら、 アラカン(もうすぐ還暦)のカローラマニアでもある筆者であっても、「カローラコンセプトはこのまま市販されるのだろうか」とワクワクさせられているので、オールド世代を見捨てないまま、新たな世代の囲い込みを上手に進めようとしているように見える。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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