見た目どおりの空力の怪物! 世界に8台しか現存しない幻のスーパーカー「スバッロ・チャレンジ」とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ある実業家の依頼で誕生したスバッロ・チャレンジは世界で8台しか製造されていない

■1980年代にCd値0.26という空力性能により300km/h超を記録した

■3代に渡り製造されてバブル期には日本にも2台が輸入されたという

前代未聞の空力性能を有数する印象的なボティ

 フランコ・スバッロの名をご存じの方は、カースタイリングについてかなり造詣が深いのかと。なにしろスバッロは、1971年に自身のファクトリーを設立して以来、現在まで欠かさずジュネーブショーにコンセプトモデルを出展している古豪カロッツェリアですから。

 代表作といわれるものは数多くありますが、なかでもコンセプトモデルから3代にわたって作られた「スバッロ・チャレンジ」は別格な存在。世界に8台が現存するという、スペシャルカー界の至宝です。

 1980年代に入ったころ、スバッロはアラブの実業家のA・アジャジから、「誰も見たことがない先鋭的なマシン」のオーダーを受けました。スバッロは、設立当初に発表したBMW 328MMレプリカが世界中のビリオネアから反響を呼び、オリジナルモデルの製作にも手を広げ始めていたのです。

 そこでスバッロは、当時の自動車メーカーが宣伝文句に使い始めた空力性能に着目。超高速域における空気の流れを味方につけるようなデザインを模索しつつ、徹底的に空気抵抗の低減を目指したのでした。そこで導き出されたスタイルは、ご覧のとおりの典型的な楔形ボディ。抗力係数(Cd)0.26は、当時並ぶものがいないトップクラスの数字で、ポルシェが空力に目覚めたといわれる928ですら0.34が精一杯。ちなみに、スーパーコンピュータを用いた現代のクルマでも、アベレージが0.29といわれていますから、スバッロの先見性の高さを窺い知れるというもの。

 フレームとシャシーは、それこそレプリカマシン作りで培った鋼管パイプフレームで、これまたいくつかのクロモリ鋼が組み合わされるという凝り方。工学博士の称号をもつスバッロらしいポイントです。また、アウディのクワトロシステムを追加して全輪駆動としているのも初代の特徴。FRP製ボディを架装した状態で、車重は約1400kgとなかなかの軽量モデルに仕上がったといえるでしょう。

 この初代モデルでは、メルセデス・ベンツの5リッターV8エンジンが搭載されたうえに、IHI製タービンを2基追加。およそ350馬力を発揮したとされ、最高速は300km/h以上と公表されています。前述のBMW 328MMでもタービンを装着したモデルをリリースしており、ターボチューンもお手のものだったのかと。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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