見た目どおりの空力の怪物! 世界に8台しか現存しない幻のスーパーカー「スバッロ・チャレンジ」とは (2/2ページ)

奇抜なスーパーカーになんと2代目が登場

 翌年、1986年のジュネーブショーで大好評だったチャレンジのリファインモデルが発表されました。基本的なスタイリングは初代とほぼ同じですが、なんと後席が追加されて4人乗りとなっての登場です。また、初代では付いていなかったサイドミラーが追加されていますが、これはリヤエンドに設置されたカメラの映像を映すモニターという変わった機構。

 1980年代はゲンバラ・アバランシェがサイドミラーにカメラを仕込んで、ダッシュボードのモニターに映すなんてことをしてましたから、スバッロとしても負けたくなかったのかもしれません。

 そして、2代目以降はエンジンがV8からポルシェのフラット6ターボ(3リッター)へと変更され、こちらはほぼストックの300馬力とされています。また、クワトロシステムが省かれたためか、車重は1200kgへと減量。それでも、最高速はいくらか下がり、290km/hと発表されています。

 驚くべきことに、この2代目モデルは日本に2台が納車されたとのこと。現存するのか定かではありませんが、さすがバブル絶頂期の日本はすごかったわけです。

 次いで1987年には、よほど売れ行きがよかったのか3代目のチャレンジがジュネーブショーに登場。4座、フラット6ターボと基本はキャリーオーバーされていますが、911ターボが3.3リッターとなったことでエンジンチューンが変わり、一気に400馬力までパワーアップされました。その結果、最高速は歴代トップの320km/hに達したとのこと。

 ちなみに3代目の生産台数はわずかに2台とのことですが、いまだに最初のオーナーのもとに残っているのだそうです。走行可能かどうかは別にしても、かなり気に入ってることは確かでしょう。なお、当時の価格は32万スイスフラン(当時のレートで約3000万円)と、そこそこ手ごろなものでした。

 結局、スバッロ・チャレンジは合計8台が作られ、基本フォルムは同じながら、全輪駆動や4人乗り、はたまた320km/hモデルなど、それぞれ個性をもたされているのがスバッロらしいところかと。

 そして、フランコ・スバッロが偉大とされるのは、こうした製作ノウハウを惜しげもなく公開し、また私費を投じてデザイン&エンジニアリングの学校まで運営しているところ。誕生から30年以上が経ったいまでも、「チャレンジのようなクルマを作りたい」という若者があとを絶たないのだとか。これまた、チャレンジが別格といわれる所以でしょう。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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