ターボってガソリン喰いまくりのエンジンじゃなかったっけ? いまどきのターボがむしろ省燃費な理由 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■かつてターボエンジンは燃費が悪いといわれており実際数字にも現れていた

■最近ではダウンサイジングターボが採用されターボ車でも燃費が大幅に向上した

■インジェクターや空力性能の向上も燃費向上にひと役買っている

ターボエンジンの燃費が向上した背景

 かつて、ターボエンジンといえば、高出力だが燃費が非常に悪い、という認識が当たり前となっていた。これは、よく考えなくてもわかる話で、ターボ過給によって多量の空気(酸素)をシリンダー内に送り込み、それに見合った燃料(理論空燃比というかそれ以上に多い燃料量)を供給することで、爆発的なパワーを得ようとしていたからだ。

 ところが、時代の流れとともにターボチャージャーの捉え方が変わってきた。きっかけは、環境保全、省燃費を前提条件に据えた「ダウンサイジング」の登場だった。ダウンサイジングは、端的にいえばエンジン排気量の縮小化のことで、不用意な大排気量はやめ、必要に応じた排気量設定こそが合理的、という考え方だ。たしかに、絶対的な加速力や超高速走行の維持にエンジンパワーは必要不可欠だが、そのためには大きな排気量が絶対条件となる。しかし、その一方で高速道路での巡航走行や一般市街地の走行には強力なエンジンパワーは必要ない。この両者、いってみれば相反する要求性能となる。

 ところが、この問題を一発で解決できる対応策があった。ターボチャージャーの活用である。ターボチャージャーは、大気中に捨てていた排気ガス(熱エネルギー)を使って吸入気を圧縮し、見かけ上のエンジン排気量を増大させるデバイスだ。それゆえ、かつてのターボチャージャーは、出力向上のみに目が行き、過給をかけてガンガン燃料を送り込めば大パワーが得られる、という捉え方をされていた。ところが、ダウンサイジングの発想が生まれた段階で、必要に応じてエンジン排気量を変えられるデバイス、という認識に変わったのである。

 要するに、パワーがほしい場面(大きなアクセル開度が必要な場面)では、過給効果によってパワー(排気量)を上げ、小さなアクセル開度で済む場面には、ターボチャージャーを使わず燃費に優れた自然給気の小排気量エンジンで使おうという考え方だ。

 さて、過給効果によってエンジンパワーを増大させるターボチャージャーだが、現代のダウンサイジングターボを体感すると、なんのためにターボチャージャーを装着しているのかという、目的意識をはっきり理解することができる。伝わってくるのは、かつてのような圧倒的なパワー感でなく、なに不自由なくクルマを走らせるパワー感やトルク感で、結果的に小排気量設定により、燃費性能が格段によくなっているという事実である。

 ダウンサイジングターボは、必要な領域で必要なぶんだけ過給をする設定により、燃費性能を引き上げる効果を生んでいる。とくに、ターボチャージャーが苦手とする低回転域での特性改善が、より燃費性能を改善する効果を発揮している。


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