700万円もする限定ロードスターが即完売! 本気のコンプリートモデルを生み出した「マツダスピリットレーシング」って一体何モノ? (2/2ページ)

スーパー耐久シリーズではワークスとして活躍

 ところが、2020年春からコロナ禍という大きな時代変化に世の中が直面。また、日本政府が「2050年カーボンニュートラル」を目指す方針のなかで、日本の自動車産業界はEVだけではなく多様な方法で脱炭素を目指すマルチパスウェイを掲げた。マツダは2017年から、マルチパスウェイに近いマルチソリューションを事業戦略の柱としていた経緯がある。

 そうした時代変化が、マツダスピリットレーシング発足をあと押しし、スーパー耐久シリーズ2021の最終戦から「マツダ2 バイオコンセプト」で参戦が決まった。自動車メーカー等が将来の量産技術を磨くための「走る実験室」として参加可能なST-Qクラスが創設されたのだ。

 その後、ST-Qクラスでは「マツダ3 フューチャーコンセプト」、またST-5クラスに「ロードスター」がマツダスピリットレーシングとして登場するに至る。

 あわせて、マツダのブランド戦略の一環としてマツダスピリットレーシングの活用が強化されていった。マツダの歴史を紐解くと、マツダが本社直轄体制でモータースポーツに参戦していたのは1964〜1970年。1970年代はオイルショックのために活動を休止するなかで、マツダの販売店であるマツダオート東京などと連携したモータースポーツ活動を続けた。1983年にマツダオート東京との共同出資でマツダスピードを設立。その流れで、ル・マン24時間への参戦も始まったという経緯だ。

 つまり、マツダスピリットレーシングはマツダ本社のワークスチームとしては1970年以降、初めての存在となる。2026年以降、マツダスピリットレーシングはCO2回収技術の実証や、次世代バイオ燃料の研究開発などを含めた新たなるステージに突入する。

 そうしたモータースポーツの知見をフィードバックした量産車の登場を大いに期待したい。


この記事の画像ギャラリー

桃田健史 MOMOTA KENJI

-

愛車
トヨタ・ハイエースキャンパーアルトピア―ノ等
趣味
動物たちとのふれあい
好きな有名人
聖徳太子(多くの人の声を同時にしっかり聞くという伝説があるので)

新着情報