この記事をまとめると
■EVは床にバッテリーを敷いた真っ平な構造のため共通プラットフォーム化しやすい
■駆動方式の変更もEVであれば容易だ
■EVでは現在とはまったく異なる姿のクルマが誕生する可能性を秘めている
EVならプラットフォームの共通化がしやすい
電気自動車(EV)のプラットフォームの基本は、床に駆動用バッテリーを敷き詰め、駆動方式に応じてモーターや制御系を配置する。エンジンのほかに、変速機や排気管、燃料タンクや燃料配管というような、床下に部品の多いエンジン車に比べ、簡素に見えるプラットフォームだ。そこで、共通プラットフォーム化しやすいといえる。
たとえば韓国のヒョンデは、そうした基本プラットフォームを積極的に活用し、そのうえで、リチウムイオンバッテリーの車載容量を変えることで、車体寸法の変化や、性能の異なるクルマを作りやすくしている。
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また、駆動輪の近くにモーターを配置できるので、前輪駆動であろうと後輪駆動であろうと、あるいは4輪駆動であっても、EVは駆動方式を選びやすい。
スウェーデンのボルボは、当初は前輪駆動であったEX40を、後輪駆動へ切り替えている。これは、もともとエンジン車であったCX40をもとにEV化したことにより、前輪駆動で当初は導入したが、EVなら容易に同じプラットフォームでの駆動方式の変更が可能であることを示す事例となった。
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EVは、エンジン車に比べ車載する部品の数が少ないため、共通プラットフォーム化しやすい。そのうえで、リチウムイオンバッテリーの容量次第で、バッテリー寸法が変わるので、あらかじめそのことを念頭に設計すれば、ひとつのプラットフォームの寸法を調整するだけで、多彩な車種構成にすることができる。
一方で、逆に金太郎飴のように個性をわけにくかったり、自動車メーカーの違いを示しにくかったりしないかという懸念があるかもしれない。しかし、ほぼ真っ平というEVプラットフォームの上には、どのような車体も載せられることを意味する。エンジン車やハイブリッド車(HV)などに比べ、圧倒的に広々とした空間をいかようにも利用できるのである。新車企画の担当や技術者、そしてデザイナーにとって、これほど自由な発想を活かせる機会はまたとないものになるだろう。
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とはいえ現状は、エンジン車なども開発・販売を並行する自動車メーカーが多いので、まだ従来型のクルマの形から大きく変わった姿は提案されていない。しかし、EV主体の時代となれば、まさに自由自在だ。
あるEV専用メーカーは、将来へ向け、いまのクルマとはまったく異なる姿のカーデザインを模索しているとの噂もある。そうしたことが可能であるのは、どのEVも共通といえる真っ平なプラットフォームでEVをつくれるからで、街を走るクルマの姿が一変する可能性を秘めている。
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EVのプラットフォームの共通化は、創造意欲のある人にとって、これまで以上に挑戦しがいのある新車開発となるはずだ。