この記事をまとめると
■RMLがGT1オマージュの限定39台ハイパーカー「GTH」を開発している
■992ターボSを基盤に920馬力までパワーアップしカーボン製の専用外装を仕立てた
■特別仕様の40周年モデルは装備強化と専用ロールケージを備える
高い技術をもったレースエンジニアリングメーカー
レーシングドライバーであり、また優秀なエンジニアでもあったレイ・マロック氏によって1984年にイギリスに設立されたレイ・マロック・リミテッド(RML)グループ(当初はレイ・マロックという社名だった)の存在は、1980年代後半にはすでにツーリングカーやスポーツカーレースの世界においては広く知られるところとなっていた。
それはもちろん彼らがもつ革新性や精密性、あるいは卓越性という言葉に象徴される高いエンジニアリングの能力が、多くのレーシングチームに勝利をもたらしてきたことに直接の理由があったのはいうまでもない。
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1990年代に入ると、RMLグループは英国ツーリングカー選手権(BTCC)において、ヴォクゾール、日産、オペルといったメーカーの車両開発に重要な役割を果たし、ここでの成功は彼らをル・マン24時間レースや世界スポーツカー選手権(WSCC)へと導く原動力ともなった。
続く2000年代にも、RMLグループはBTCCで日産プリメーラやシボレー・ラセッティ、シボレー・クルーズなどの開発を担当し、複数回の優勝とチャンピオンを獲得。さらに、ル・マンシリーズへと投じられたMG・ローラ・EX257の開発とオペレーションを担当するなど、その活動は年を追うごとに積極的に、そして大規模なものになっていった。
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2000年代は、そのRMLグループにひとつの転機が訪れた時代でもあった。それはこれまでのモータースポーツの世界に加えて、高性能な自動車を生み出すエンジニアリング分野へと専門性を拡大し、自動車メーカーの先進車両開発にも深く関係する決断を下したこと。
もちろんモータースポーツが彼らにとって重要なアクティビティであったことに変わりはなく、2014年に日産がル・マン24時間レースのガレージ56枠にエントリーした、ハイブリッドのプロトタイプレーシングカー、ZEOD RCの開発にもRMLグループは関係することになった。
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そのRMLグループが、モータースポーツの分野を越えて高性能ロードカーの世界に進出を果たしたというニュースが最初に流れたのは、2010年代後半のことだった。現在のRMLグループは、RMLパワー、RMLエンジニアリング、RMLモータースポーツ、RMLビスポークという4つの主要な部門で構成されているが、この各々がもつ知見と経験をもとに、現在開発の最終段階にあるのが、ここで紹介する「P39」と呼ばれるモデルだ。
ちなみにP39とは、それがRMLグループにとって39番目のプロジェクトであることを示すコードネームで、正式な車名はGTハイパーカーを意味する「GTH」となる予定だ。
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生産台数はそれにちなんで39台の限定となるが、このなかの10台はRMLグループの設立40周年を記念して、さらに特別な装備を施した「RML 40周年アニバーサリー・スペシャル・エディション」としてデリバリーされる計画だという。