鈴木亜久里と土屋圭市がガライヤを駆る
そして今回、現存する数少ないガライヤを細部に至るまでレストア。その完成度を確かめるべく、袖ヶ浦フォレストレースウェイにもち込まれた。あのガライヤが、万全のコンディションで走るというだけでもワクワクだが、ドライバーを務めるのはなんと、日本を代表するレーシングドライバーにしてARTAの2大巨頭、鈴木亜久里氏と土屋圭市氏。最高にテンションの上がるテストドライブとなった。
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コースインしたガライヤは、20年以上も前のクルマとは思えない走りっぷり。ストレートでは力強く加速し、コーナーではしっかりと路面を捉え、なめらかに駆け抜けていく。みごとなフットワークで、トップドライバーふたりのドライビングに応える姿は、最新のスポーツカーにも見劣りしない。
テストドライブを終えたふたりは、ひさびさに味わったガライヤの走りにご満悦の表情。感想を口にする間も、終始笑顔が絶えなかった。
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「あのころと変わらないね」と語るのは亜久里氏。「イギリスのテストコースで、市販が発表される前に何度もテストしたんだよ。サーキットやオーバルをさんざん走ってね。そのときと、エンジン音も何もかも同じままだったね」と語る。そのころから高かった完成度は、徹底したレストアの結果、しっかり取り戻されていたようだ。
続けて、「よくできてるよね。よく曲がるし、リヤの不安感もまったくないし。トルクもけっこうあるし、ぜんぜん神経質じゃない」と高評価。
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キャビンは、ライトウエイトスポーツらしくタイトだが、オーディオやエアコンも完備して、小さなGTカーといったインテリアに仕上がっている。「でも、乗った感じはレーシングカーっぽさも感じさせるね。ギヤも結構ダイレクトだし」と、亜久里氏は語った。
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土屋氏の第一声は「ジネッタの高級版みたいだ!」。「ロータス・エリーゼみたいな感じがする。日本版のエリーゼかな。おもしろいクルマだよ。ボディ剛性もちゃんとしててびっくり。車内に座ってると、遊園地のアトラクションみたいだけど、不安要素はまったくないね」
少量生産のライトウエイトスポーツというと、神経質でスパルタンなものを想像しがちだが、扱いにくさがまったくないのもガライヤの長所なようだ。
「クルマが軽いからパワーも十分で、ヘアピンも2速に落とさないで3速でいけちゃう。コーナーも速いしね。峠なんかも楽しそう! 20年以上も前のクルマなのに、なかなか元気に走ってくれて、うれしいよね」
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取材陣は幸運にも、撮影の際にガライヤをわずかな時間ながら走らせるチャンスを得た。高いサイドシルと低いルーフで乗り降りに多少のコツがいるものの、操作系のレイアウトは扱いやすく、クラッチやシフトレバーも素直。低速でもトルクは十分にあり、ロータス・エリーゼと同等か、むしろそれ以上に運転しやすい印象だった。
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初めて乗る人間にも問題なく動かせて、トップドライバーのサーキット走行も難なくこなす、最高の状態に仕上げられたガライヤは、今すぐにでもふたたび量産化が検討されないかと思いたくなるほど魅力的だった。
この実車は、年明けの東京オートサロン2026、そして大阪オートメッセ2026において、オートバックスのブースで一般公開される。かつて手に入れたいと願った人も、写真などでしか目にしたことがない人も、この美しい姿に目を奪われることは間違いない。ぜひとも会場へ足を運んで、見逃さないでいただきたい。
なお、オートバックスブランドサイトやSNSなどで、今後ガライヤのレストア風景を公開予定とのことなので、こちらも乞うご期待!