日本の軽自動車が世界を席巻する日も遠くない! いま海外がKカーに注目するワケ (2/2ページ)

マイクロBEVではアメリカ市場に食い込むことは難しい

 しかし、このトランプ大統領の話が報道された翌週動きがあった。ステランティスはアメリカ国内にて同グループのマイクロBEVとなるフィアット・トポリーノを2026年にアメリカ国内で発売することを明らかにしたのである。トポリーノは2023年に欧州で発表されている、全長2535×全幅1400×全高1530mm、最高速度は45km/hとなる2シーターモデルとなる。

 日本の軽自動車が全長3400×全幅1480×全高2000mm以下なので、とくに全長は日本の軽自動車よりかなり短くなっている。トポリーノもそのスペックを見ればフリーウェイを走るのはまずできないだろう。

 アメリカというか、日本でもその傾向があるのかもしれないが、クルマは生活必需品だが、新車を買うまでは経済的余裕のないというひとが中古車を選ぶことが多い。アメリカでは中古車となると燃費の悪い大排気量車が多く、生活に苦しいひとほど燃料代の負担が大きくなるという負のスパイラルも目立っている。また、アメリカだけではなく、日本でも近年では中古車価格の相場上昇が顕著で、より低年式な中古車に流れる動きもある。

 報道によると、アメリカでの新車の平均販売価格は5万ドル(約775万円)になっているとのこと。日本でも新車を買えるまでの予算がないと中古車に流れるパターンが目立っているが、アメリカでは軽くそのレベルを超えている。

 ちょっと昔までは、日本でいうコンパクトハッチバックの新車が1万5000ドルぐらいで買えて、それなりに複数のブランドでラインアップしていたのだが、その流れを汲むのは日産のコンパクトセダン「ヴァーサ」が1万7000ドル(約263万円)台でラインアップしているぐらいしか確認できなかった。アメリカでは新車を買うことができるひとが以前よりも限られてきているといっていいだろう。

 トポリーノは1万5000ドル(約232万円)を目指しているとのこと。日本のスーパーハイト系のカスタムモデルの軽自動車では支払総額がだいたい250万円(約1万6000ドル)前後となることもあるので、やはり日本の軽自動車のようなモデルをイメージし、庶民層でも気軽に買える新車の供給をトランプ大統領は考えているのかもしれない。

 ただし、このような層へ向けての施策と捉えるのなら、トポリーノはふさわしくない。日本でのセニアカーのような感覚にも見えてしまうからである。

 筆者はアメリカ大統領が軽自動車に注目したことに「まさかアメリカが」と思った。ただ、実際乗ってみればまさに日本クオリティ。快適装備の充実もあるが、高速道路でも昔ほど走りに不満はない。ここ最近の訪日ブームで、トランプ大統領のように日本に来て軽自動車を見て、「あれはなんだ」と思ったひとが母国へ帰って土産話をすることが世界的に多くなり、その存在がますます世界的な広がりを見せているようにも見える。

 果たして日本の軽自動車は大きく世界へ羽ばたくことができるのか楽しみである。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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