クルマを輸入したらX線検査は必須?
ではその先に進もう。輸入したクルマを引き受けるまではもう少し手順を踏まなくてはならない。このときに運が悪い人とラッキーな人にわかれるというのだ。
まずラッキーな人の場合だ。コンテナ船を使って輸入した場合、クルマはコンテナに納まってやってくる。このコンテナには封印がされており、問題なければ税関に申告したあとに開封の許可が下りる。これで無事に輸入したクルマが手に入るわけだ。
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しかし、運が悪いとコンテナのX線検査を指示されることがある。実際に輸入している人に聞いたところ、X線検査の対象になるかならないかは完全に運だとのことだ。どうやらこれはランダムで選ばれているらしい。
このX線検査は、港湾エリアということもあって、大型の機械が使われる。コンテナトレーラーごと入るX線検査装置だ。この検査装置については後述するが、X線検査の結果によってもまた手間がかかるケースもある。検査の結果が問題なければそのまま封印開封となるのだが、そうでなかった場合、コンテナの中身をすべて降ろすことになるのだ。コンテナの中身がクルマだけならまだしも、余ったスペースにパーツやエンジンなどを積んでいた場合は、これらをすべて外に出さないといけなくなるため、非常に面倒くさい作業なのだ。
こうした検査が終わったあと、税金を支払えば通関証明書をもらうことで手続きが終了する。慣れれば簡単だというが、話を聞いているだけだとそれなりのコツもありそうだ。
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では最後に税関で使用されるX線検査装置について触れておこう。大型X線検査装置は、近年、コンテナで輸出入される貨物やコンテナ自体を利用した大口の密輸事犯が多発している状況から、コンテナや自動車、小型ボートなどの大型貨物の検査を可能とするため、全国15カ所(13港)に配備されている。
これまでコンテナ貨物の全量取出検査には、コンテナ1本あたり約2時間程度かかっていたが、この装置の導入により、約10分程度で検査することが可能となった。
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また、従来のX線検査装置では、検査困難な重量物や長尺貨物等の検査を可能となった車載式後方散乱線検査装置を導入している。