街中の注目度では間違いなく勝っていた! メルセデス・ベンツSLのガチライバル車「キャデラックXLR」はもっと評価されていいクルマ!! (2/2ページ)

アメ車らしい個性が光る唯一無二の存在

 走りについてはもうおぼろげな記憶でしかないが、乗り心地はマグネティックライドコントロールの効果もあって、どんな路面でもすこぶるフラットかつユルユルと快適。SLと比べると大味な操縦性であり、軽快感こそ望めないものの、V8ノーススターエンジンの図太いトルクとスムースかつ鋭いレスポンス、オープン時に際立つ高回転まで回したときの快音、5速ATの変速の滑らかさ、そしてステアリングの正確性が際立っていた。

 中高速域では風の巻き込みがけっこうあるものの、アメリカンラグジュアリーな心地よさが光り、重厚でロングドライブに適した、キャデラックのブランドに恥じないグランドツアラー的キャラクターを全身に備えていたといっていいだろう。

 いま思えば、日本の道でも大きすぎないサイズの2シーターオープンスポーツというあたりは、アメリカ車、キャデラックであること以前に、希少かつもっと注目されてもよかった1台なのではないだろうか。

 ちなみにその後、2007年11月に高性能版のXLR-Vが登場。ノーススターエンジンは4.4リッターのV8スーパーチャージャー版となり、443馬力・57.2kg-mを発揮するに至った。ミッションも6速ATに改められている。当時の価格は1360万円だった。そして登場から5年目の2009年にXLRは生産を終えている。

 2025年12月現在、カーセンサーで8台、グーネットで7台しか見つけられない、もはや希少車だ。価格は200万円台から600万円台。もう20年以上前のクルマながら、走行距離の少ない個体が多いのも特徴だ。なお、当時の10・15モード燃費は6.1km/L。実燃費は4km/L程度か。とはいえ、燃費を気にして乗るクルマではないことも確か。

 メルセデスベンツSLに肩を並べたとはいい難いものの、これほどまでに派手に目立つ2シーターオープンスポーツはめったにない。維持費はともかく、キャデラックらしい顔つきに燦然と輝くエンブレム、ド派手な電動ハードトップの開閉動作といった唯一無二な魅力もあって、注目度抜群の1台といっていいだろう。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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