トラックドライバーは刑務所ばりに監視されている! どこをどう走っているのかだけじゃなく「車内で何をしているか」まで問われる時代だった (2/2ページ)

監視社会がドライバーの数を減らしている

 とあるドライバーは、「プリントアウトしたデジタコのデータを見た事務所の人間から、この時間はエンジンをかけたまま数分間停車しているが、何をしていたとか聞かれたりしますね。工事や事故などで片側交互通行になっているときであっても質問攻めにあうので、いちいち説明する時間が億劫で仕方ないです。あとは運転中の録画画面を観せられて、数秒間片手ハンドルをしているとか指摘されたり。ここは刑務所かと思うこともありますよ(笑)」

 別のドライバーは、「運転中はタバコが吸えないので、時間があるときは納品先の喫煙所でタバコを吸わせてもらうことがあります。自由な時間といえば、それぐらいですね。車内で飲食をしたり、スマホを取り出す行為もNGですし。まぁ会社のトラックですから汚せないですし、そのへんは当たり前かなとも思います。昔からトラックに乗ってきましたが、まったくといっていいほど別物の世界になりました。いまでもいい加減な運送会社はいくつもあると思いますが、自分的には免許証が痛まないような規則ガチガチの会社なのでありがたい面もあります。ストレスは溜まりますが、速度が出せない以上諦めるしかないことが多いですからね」

 3人目に話を聞くと、「法定速度で走行することが義務付けられている割には時間的余裕がない仕事をしていますので、いつもハラハラしながらハンドルを握っています。車内の様子もカメラで記録されているので、気を紛らわすために歌を歌ったり独り言をいうのも遠慮してしまいますね。運転中に愚痴を吐いたり、あくびをしていただけでも呼び出されたことがありますので。運送会社はここが初めてなのですが、自由さなんて微塵も感じたことないですよ(笑)。サラリーマンをしていたほうがよっぽど自由で気楽でしたね。サラリーマンのころは自分の仕事に遅れが出ても周囲がフォローしてくれましたし、逆もありました。でも、トラックの場合はそうはいかないですからね。事故や工事なんかで渋滞に巻き込まれたときは、本気でどうしようって思いますよ。それでも速度を出すことはできないから、巻き返しなんて不可能ですし。それで、会社に戻れば呼び出されると。トラックに少しでも傷をつけたら懲罰会議が開かれるし、それで薄給ですからいい仕事だとは口が裂けてもいえないですね」

 大手企業に出入りしている現役のトラックドライバーにも話を聞いたところ、ほぼ全員といっていいほど、現状を否定するような言葉が返ってきた。まだまだ自由な体制を守る運送会社も存在しているが、年々コンプラに厳しい運送会社が台頭してきた物流の世界。あなたは、こんな窮屈な世界で働きたいと思うだろうか? 人手不足に陥る要因を運送会社みずから築き上げているという環境を打破しなければ、きっと明るい未来は見えてこないはずだ。


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