この記事をまとめると
■バンコクではレンタサイクルが存在しているが定着は難しい状況にある
■酷暑の気候に加えバイクタクシーやシーローなど代替手段が充実している
■短距離でも安価かつ快適に移動できるため自転車の優位性は限定的だ
暑すぎるバンコクではそもそも自転車で移動しない
2025年11月末から12月上旬に仕事でタイの首都バンコクに滞在した。BTS(高架鉄道)のトンロー駅近くに常宿があるのだが、今回トンロー駅近くに行くと駅とつながる階段下にレンタサイクルのステーションができていた。日本でも都市部を中心にお馴染みのサービスであり、利用方法も日本とほぼ変わらないものであった。
その数日後バンコクの知人と会食をしている時にその話をすると、「たまに思い出したようにそのようなサービスが始まりますが、たいていは利用者も少なく廃れてしまいますね」と話してくれた。その理由としては、まず酷暑の多いバンコクで好んで自転車で移動しようというひとがいないことがあるそうだ。確かに街なかでは日本でママチャリといわれるような生活移動手段としての自転車はほぼ見かけない。日差しも強く気温も高い、年間で低めといっても30度を切るか切らないかという気候なので、その時点で需要が少ないということは理解できた。
バンコクのレンタサイクルステーション画像はこちら
ラストワンマイルの移動手段として考えてみると、バンコクではすでにさまざまなサービスが存在している。バンコク市内でのラストワンマイルの移動手段の代表は「バイクタクシー」である。前述したトンロー駅近くにも客待ちするバイクタクシー乗り場が存在する。
スマホの配車マッチングアプリで呼び寄せることもできるのだが、乗り場のような場所には料金表があるそうだ。それによるとBTSの駅からひとつ先の駅ぐらいの距離の移動では10バーツ(約50円)とのこと。距離がかさむたびに割安感が薄れていくので、短距離移動、つまりラストワンマイル移動としての需要が多いようである。
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筆者は小心者なので使ったことはないが、現地在住と思える欧米人も気軽に使っているので慣れると便利な移動手段となるようだ。「バイクタクシーはどうも……」というひとへ向けては、「シーロー」(四輪タクシー)という乗り物もある。基本は昔のダイハツ・ハイゼットなどの荷台にシートを設けた移動手段となる。タイといえば有名なのが三輪タクシーの「トゥクトゥク」となるが、これは愛称で、正しくは「サムロー」(三輪タクシー)となる。
これもバイクタクシー同様に乗り場があるようなのだが、筆者がある日スコールに遭遇して立ち往生していると、通りかかったシーローが「乗らないか」と声をかけてきたので、目と鼻の先のあるホテルまで送ってもらった。
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乗り合いが基本なので、筆者のように通りがかりで乗り込んでくるケースもあるようだ。料金を調べると、もっとも近い距離区分で20バーツ(約100円)となっているようだ。乗り合いとはいえ、個々人に料金はかからずグループまとめていくらという料金設定となっているとのこと(つまり多人数で乗るほど得をする)。