高くなった新車販売価格にどこまで影響を及ぼすのか
それはともかくとしても、ここのところ「新車は高くなった」という声をよく聞くようになった。アメリカにおける2025年9月の平均新車販売価格5万80ドル(約776万円)レベルには及ばないものの、日本一売れているクルマとなる軽自動車のホンダN-BOXカスタムを試算すると、最低限のオプションを装着しても支払総額で250万円を超えてしまった。
軽自動車のN-BOXでも環境性能割が1万6000円も計上されていた。前述した環境性能割が非課税となるヤリスクロス・ハイブリッドZ(2WD)でさえ、支払総額で300万円を超えてしまっている。
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環境性能割を期間限定であるか否かに問わず停止もしくは廃止しようとする目的は内需拡大、つまり消費者が車両を買い求めやすくすることなのはあえていうまでないことだろう。
2024年における日本での新車販売に占めるHEVの販売比率は、全体の約6割程度となっているので、どこまでこの措置の効果が新車販売に反映されるのかは限定的とも見えてしまうのだが、「新車は欲しいが予算的にちょっと厳しいなあ」というひとの背中を押す効果は期待できるものと見ていいだろう。
また、環境性能割は中古車取得時にも課税されるので、新車だけではなく割高傾向が顕著となっている中古車の購入に際しても背中を押す効果に期待がもてるところである。
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最近は、安全運転支援デバイスの標準装備化も進んでおり、そのなかでの価格設定を見れば、単純に新車は高いともいえないのだが、ここ最近の特徴では、新車全体とか日系ブランド全体というよりは、一部ブランドがとくに割高に感じるといった話もよく聞くようになっている。
新車が買えないなら中古車へと昔は動くこともできたのだが、日本の中古車が旧車にいたるまで世界的に高い人気となっていることもあり、相場全体が割高傾向だ。初度登録(軽自動車は届け出)から10年ほど経過しないと中古車らしい割安な価格の物件は目立たなくなっているとも聞く。
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たかが数万円負担が軽くなっただけで……(環境性能割のこと)とその効果を疑う声もあるだろう。ただ、新車ディーラーではより数多く売らなければならない増販期には、よく下取り査定額を一律(年式や状態問わず)2万円底上げなどを行っていたが、現場のセールスマンからは、この数万円の底上げだけでも受注活動にはずみがつくとその販売促進効果を評価していた。
前述したヤリスクロスのガソリン車でも、6万円ほど本来課税されるはずの環境性能割が課税されないのだから、政府与党の考える新車販売促進効果は期待してよいのではないだろうか。前述したヤリスクロス・ガソリンZ(2WD)のシミュレーションでは現状支払総額288万3680円から環境性能割を差し引くと281万9980円となった。
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セーブできる金額もさることながら、「停止(もしくは廃止)しますよ」というアナウンス効果のほうが高いと感じている。税金といえばとかく「またあがった」、「また新たにとられる」といった話ばかりがここのところ続いた。そのなかで「税金取りません」というメッセージは、庶民の財布の紐を緩めることとなり、ぜひ新車販売現場が活況を呈するようになることを願うばかりである。
ただし、事実上2026年正月からはじまる2025事業年度末決算セールにおいて買い控えがでないか心配が残るところではあるが、販売現場としては、環境性能割停止(もしくは廃止)後に挽回すればいいと前向きに考えたほうがいいのではないだろうか。