これだけクルマの安全技術が進化しても事故はまだ起こる! ピーク時の3分の1になったとはいえ事故ゼロには何が必要? (1/2ページ)

この記事をまとめると

■事故件数はピーク時から大きく減少したがゼロにならない背景がある

■ADASは追突には効くが歩行者相手と交差点への対処は難しく万能ではない

■付ける安全から使える安全へ人・クルマ・道路をセットで更新すべきだ

先進運転支援システムが進化してもゼロにならない交通事故

 日々ニュースで目にする痛ましい交通事故。これだけADAS(先進運転支援システム)が普及したのに、なぜ事故は起こるのだろうか? そもそも事故は本当に減っているのだろうか? 多くの人が一度は抱く疑問だ。

交通事故は減っているが……

 警察庁の統計によれば、交通事故件数は2000年代以降、長期的に減少傾向を続けている。ピークの2004年の約95万件から一貫して減少し、2020年以降、コロナ禍の影響もあるが30万件前後で推移している。とくに2010年代後半からの減少率は顕著であり、発生件数・死者数ともに減っている。この背景には、クルマの安全技術の進化が確実に寄与していると考えられている。

 国交省は新型車に対し、2021年11月から「衝突被害軽減ブレーキ(AEB/自動ブレーキ)」の装着を義務化した。これは国産新型車が対象で、輸入車新型車については2024年7月以降が対象だ。義務化からの年数を考えると、車両全体への浸透はまだ途上段階にある。

 しかし、自動ブレーキなどの衝突被害軽減ブレーキの有無で比較すると、たとえば国交省やNASVA(自動車事故対策機構)の試験データでは、追突事故の発生率は非装着車に比べて装着車が、速度や時間など条件付きではあるが約半分にまで減少。また、保険会社の事故統計でも、ADAS搭載車は保険金支払い件数が少ない傾向にある。つまり、ADASは一定の効果を確実にあげているといえるだろう。

 ADASは、前段階としてアンチロックブレーキシステム(ABS)やブレーキアシスト(Brake Assist)といった操縦安定性に重きを置いたシステムから段々と進化。その後、各種センサーの進化にともない、先行車との車間距離を自動で維持しながら追従走行するアダプティブクルーズコントロール(ACC)や車線逸脱警報/抑制支援システムへと発展してきた。現在、完全自動運転の実現を視野に技術革新が進んでいるが、社会全体の事故を劇的に減らす段階にはまだ達していない。

 理由は単純で、事故件数という指標がADASの性能だけで決まるものではないからだ。交通量、走行距離、都市部と郊外の構成、天候、道路インフラ、そして運転者の年齢構成やスマホ注視などの行動変化が複雑に絡む。


この記事の画像ギャラリー

新着情報