21世紀になった瞬間に発表されたスーパーカー! 計画どおりにいかず2台のみが作られた「エドニスV12」という悲運のクルマ【21世紀スーパーカーFILE #001】 (2/2ページ)

わずか2台の販売で終わったエドニスV12

 その代案としてマテラッツィが新たに設計したのが、のちにエドニスV12に搭載されることになる、ブガッティEB110のそれをベースとする、3764ccのV型12気筒DOHCツインターボエンジンだ。これにIHI製のターボチャージャーをツインで組み合わせ、プロダクション仕様では700馬力の最高出力と785Nmの最大トルクを得ることに成功した。

 ミッションは6速MT、駆動方式はブガッティEB110がフルタイム4WDであったのに対して、エドニスV12ではオーソドックスなRWDが選択された。

 個性的なフロントマスクが与えられたボディデザインは、ベルトーネ出身のマルク・デシャンプの手によるものだ。ボディパネルはアルミニウム製だが、これは社長であるジャン・マルク・ボレルが、モデナ産スーパーカーの伝統をどこかに残したいという意思を強く抱いていたことに理由があったのだという。

 とはいえ実際の車重はわずかに1300kg前後。この軽量性も大きく貢献し、エドニスV12は0-100km/h加速で3.9秒、最高速は365km/hという運動性能を実現した。また、前後のタイヤには、内圧が0になっても80km/hで200kmの走行を可能にするPAXシステムが、世界で初めて標準装備化されている。

 世界のスーパーカーファンを驚嘆させる衝撃的なデビューを飾ったエドニスV12だったが、セールスは残念ながら好調には進まず、Bエンジニアリングはその後、そのパワーユニットを水素燃料化するなどのプロジェクトにも挑戦。2018年にはアメリカのネバダ州ラスベガスにあるカジル・モータース社と共同で、新たに「エドニスSP110」とネーミングされたV12からのアップデート版を15台投入するプランを立ち上げるも、こちらも同年に1台が生産された事実こそあるものの、その後の情報はない。

 結果的にこの世に生を受けたエドニスは、わずかに2台のV12と1台のSP-110があるのみ。21世紀の最初に発表されたスーパーカーはまさに悲運のモデルだった。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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