安全の名のもとで縛られる現場
たとえば、交差点を左折するとき。走行中でも歩道や側道の状況確認はできるのだが、歩行者やバイクなどの存在がない場合であっても、必ず一時停止しなさいというルールが設けられている会社もある。そのことによって巻き込み事故は減るかもしれないが、追突されるリスクは必然的に高くなる。
また、左折時に一時停止するという自転車側の思い込みも、事故を引き起こす要因となるに違いない。いくら形式だけの安全運転を遂行しても、100%安全が保障される運転など存在しないのだ。むしろ、自車の安全運転が他車の危険を誘発するケースも存在するのだから、難しい話である。
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逆に、交差点を右折する際。道路に敷かれた白線を踏むことなく右折しなさいと指示される運送会社も存在する。しかし、それは全長12mを有する大型トラックでは危険な行為になりかねないのだ。白線どおりに右折をすると、車体の後部が左側に大きく膨らんでしまい、直進車両の妨げになる。最悪の場合、接触事故の原因となってしまうのだ。
また、ノンストップで交差点に進入して右折する場合は、白線どおりに走行すると荷崩れをおこす可能性も高くなる。そのようなトラックの特性を知らない人間が運転マナーを決めつけてしまうことが、そもそも危険な行為であるといえるだろう。
速度超過や交差点付近での車線変更は、もちろん道路交通法違反となる。しかし、会社によってはそれ以外にも独自の違反を設定し、違反したドライバーにはペナルティを課すところも少なくない。現在ではデジタルタコグラフという機器が発達し、トラックの運行状況が事細かに記録されている。それにより、会社が違反を確認できるというわけだ。速度違反や過積載などは十分すぎるほどに理解ができるが、なかには急減速違反という項目も存在する会社もあるから驚きだ。
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通常の交差点であれば、歩行者信号の点滅によって車道の信号機が変わるタイミングがあらかじめ予測できるので、そのタイミングでブレーキをかければ、安全に停止できる。しかし、スクランブル交差点では、赤信号になるタイミングが判断できない。時速60kmで走行しているなかで安全に停車しようとするならば、それなりの急減速が必要となる。それで会社の違反になってしまうのであれば、加速も減速もできない状態で交差点を通過するほかないのだ。その結果、ときには信号無視をしてしまうこともあるだろう。はたして、急減速違反は本当に安全へと直結するのだろうか。
速度を出して走れば荒っぽいといわれ、法定速度で走行すれば遅くて邪魔だといわれてしまうのがトラックドライバーの世界。一般車ドライバーのわがままにどこまで付き合えばいいのかわからない部分もあるが、細かすぎる規則や危険を誘う自称安全走行は、本当に善なのだろうか。もちろん法令違反を推奨しているわけではないが、行きすぎた感のあるトラックドライバーの安全対策も、ぜひとも一考してほしい。