この記事をまとめると
■ホンダとGMが共同開発していた燃料電池システムが2026年で生産終了となる
■今後ホンダは燃料電池システムを独自開発していく
■FCXからCR-V e:FCEVまで続いているホンダのFCEVを振り返った
1990年代からFCEVの開発をしてきたホンダ
ホンダがGMと共同開発してきた燃料電池システムの生産を、2026年中に終了することが明らかになった。これは、協業していたGMが水素事業の見直しにより、2025年に燃料電池システムの開発を終了すると発表したことを受けての判断だ。ただし、これはあくまでGMが燃料電池システムの開発から撤退するということであり、ホンダ自身は今後、次世代燃料電池システムを独自に開発していく方針を示している。
燃料電池車(FCEV)というと、現在ではトヨタMIRAIのイメージが強いかもしれない。しかし実際には、ホンダは世界でもっとも早くから燃料電池システムの研究・開発に取り組んできた自動車メーカーのひとつだ。そこで今回は、ホンダの燃料電池車の歩みを振り返ってみたい。
ホンダが燃料電池の研究を本格化させたのは1990年代。まだEVすら一般的ではなかった時代に、将来のゼロエミッション技術として水素に可能性を見出したホンダは、1999年に燃料電池車の実験車「FCX」を発表する。これが、ホンダFCEVの原点となった。
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そして2002年には、「FCX」が世界で初めて公道走行の認可を取得し、官公庁などへのリース提供が開始される。FCEVが研究段階から実用化へと一歩踏み出した、象徴的な出来事だったといえるだろう。
続く2005年には、燃料電池スタックの小型・高性能化を進めた「FCXコンセプト」を発表。着実に実用性を高めていった。
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ホンダFCEVの大きな転換点となったのが、2008年に登場した「FCXクラリティ」だ。世界初の燃料電池専用設計セダンとして開発された同車は、燃料電池スタックをコンパクトにまとめることで、一般的なセダンと遜色のない室内空間を実現。さらに低温時の始動性にも優れ、氷点下でも走行可能とするなど、FCEVが抱えてきた課題を着実に克服していた。
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2016年には、量産型FCEVとして「クラリティ フューエルセル」を発売。燃料電池スタックの体積を従来比で約3分の1まで縮小し、航続距離は約750kmを達成した。走りは静かで滑らか、給水素は数分で完了し、さらに給電機能(V2H/V2L)も備えるなど、FCEVとしての完成度は非常に高いものだった。
ホンダ・クラリティフューエルセルのフロントスタイリング画像はこちら
クラリティ フューエルセルは日本だけでなくアメリカでも展開され、FCEVが「未来のクルマ」ではなく、「少し先の将来にある現実的な選択肢」であることを示した存在でもあった。
そして2024年、ホンダはGMと共同開発した燃料電池システムを搭載する「CR-V e:FCEV」を発売。17.7kWhの大容量バッテリーを搭載し、プラグイン機能によって外部充電にも対応することで、電気による走行と従来どおりの水素充填による走行を両立している。
ホンダCR-V e:FCEVの走行シーン画像はこちら
なお、GMと共同開発した燃料電池システムを搭載するCR-V e:FCEVについては、システム在庫がなくなるまで生産が継続される予定だという。
このように、ホンダはこれまでも一貫してFCEVの開発に真剣に取り組んできた。そしてGMとの共同開発が終了したからといって、ホンダが燃料電池への挑戦を諦めるわけではない。さまざまなことに挑戦し続けてきたホンダだけに、今回のGMとの協業終了が、同社らしいFCEVを再び世に送り出す契機となることに期待したい。