車検合格=安全ではない
外まわりの検査をパスしたら、いよいよ検査レーン内へ。
まずここではサイドスリップの検査を行う。これは、クルマが真っ直ぐ走るかをチェックする項目でいわゆるトー角を確認する。ステアリングを真っ直ぐにして1mほど直進するのだが、右や左に車体が振られるような感じで真っ直ぐ走らなければ基準外で不合格。再度やり直しだ。合格基準は1m走行で±5mm以内といわれている。
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次にブレーキ。ここではフットブレーキやサイドブレーキの検査を行う。要は国が定めた負荷を車輪に掛けて、ちゃんと止まれるかをチェックする。これはタイミングや力加減が難しいが、とりあえず全力で踏めばだいたいは大丈夫なはず。
しかし問題はサイドブレーキで、これは強めに引かないとNGを喰らいがち。電動パーキングブレーキなら大丈夫かもしれないが、手動式のクルマや年式が古い人は、なおのこと注意したい。
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そのあとはスピードメーターの検査を実施。スピードメーターの針が40km/hになったらパッシング……が一般的であったが、数年前からは40km/hになったらスイッチを押す方式になった。クルマが進まないのにスピードメーターが上がっていく感覚は、最初はかなり違和感を覚える。
検査の際、純正タイヤサイズがベストだが、極端なインチアップやダウンをしていなければ、サイズ違いのタイヤでも問題ない。それと、40km/hジャストでなくても大丈夫なので、だいたいの場所でスイッチを押せばOKだ。
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次に行うのが光軸と光量の検査。ヘッドライトの光がデタラメな方向を向いていたり、そもそも暗かったりするとここでも検査不適合となる。ちなみに、この検査はかなり落ちやすい項目で、筆者も落ちた経験がある。照射は基本ロービームで光量を見て、光量が足りないとハイビームで検査となる。
しかし、このヘッドライトの検査は別記事で紹介するが、検査内容がクルマの年式によって2026年8月より大幅に変わることに!
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その次は排気ガスの濃度をチェックするのだが、よほど変なチューニングをしていたり、触媒が入ってない(そもそも違法)、触媒に大きなダメージを受けている、エンジンで異常燃焼が起きているなどなければ問題ないだろう。ここで落ちると大きな修復が必要になる可能性がある。
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最後は下まわりの検査。これは半地下みたいな場所に入っている検査員が、クルマの下まわりを目視とハンマーなどで検査する。オイル漏れや排気漏れ、アーム類の傷みブーツの破れを確認する。これもまた非常に落ちやすい場所だ。なぜなら、筆者のような一般人が下まわりを頻繁に見ることは稀で、ブーツの破れに気がつけないからだ。
ここで落ちるとやはり再検査。先の排ガスと同じで、重整備が必要な場合があるので、その日中にクリアできない可能性がある。筆者も1度排気漏れを指摘され、昼休みの間に修復した経験がある(軽微だったが)。
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以上の項目をクリアすれば、晴れて車検合格となり、書類提出後、検査標章と新しい車検証を受け取って終了となる(各項目内にじつはかなりの検査項目があるが全部は見られない)。
なお、不合格カ所があった場合はそこを修正し、当日なら無料で最大2回まで再受検可能だ。検査は1日に午前2回午後2回の計4回ある。当日中に直せない場合は、15日以内であれば再度検査を受けられる。その場合、「限定自動車検査証」を発行してもらい、後日不適合箇所のみ検査を受けることになる。
このように、車検の検査項目自体は大掛かりなことではないのだ。なので、先に述べたように、「車検クリア=安全」とはいい切れない。最低限中の最低限をここでクリアしただけで、安全を担保するものではないからだ(もちろん保証もない)。
なので、冒頭で述べたように、常日頃から愛車をメンテナンスしているユーザーか業者の人でないと、ユーザー車検はあまりオススメできない……ということになるわけだ。受付時に、「分解整備記録簿(2年定期点検整備記録簿)」の提出を求められるのも、そんな背景がある(なくても検査は受けられるが……)。業者へ車検を依頼すると、保証してくれる部分があったり、どこをやったか詳細が出るので、安心材料にもなる。
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ただ、ユーザー車検に挑戦するのは、愛車への理解度を高める絶好の機会でもあるのも事実だ。
ちなみに、こういった検査を受ける前に各部を微調整してくれるテスター屋というのが、陸運局周辺には点在しているので、もしユーザー車検を受けるのであれば、検査前に1度調整や相談をすることをオススメする。
最後に、陸運局やスタッフによって検査基準が一部曖昧で、「ここではOKだったのにこっちはダメだった」みたいな話もチラホラ聞く。OKかNGか怪しいような項目はすべてクリアしてから、万全の体制で検査を受けるのがベストだ。