シンクロウェザーが生活にもたらすもの
「全部80点」という発想
──じつは私自身もオールシーズンタイヤの導入を検討していたんですが、先ほど触れたデザインと氷上性能で断念したんです。ただ、このタイヤを詳しく知ると、改めて考え直すキッカケになりますね。
「導入すれば、冬にわざわざタイヤを履き替えるという手間はなくなります。北海道の旭川にダンロップのテストコースがありまして、行くたびに周辺道路をシンクロウェザーで走るんですが、全然問題なく走れますよ。さらに4駆と組み合わせると、なんの不安もないですね」
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──そうなってくると、全部入りの性能で欠点が見当たらないですね(笑)。
「大概全部ですね(笑)。ただ、シンクロウェザーをわかりやすくイメージで言うと、スタッドレスタイヤの氷上性能を100点満点だとすると、これは80点。コンフォートタイヤのドライ性能を100点満点だとすると、これも80点。ほかのタイヤはある要素が100点でも、ほかの要素に30点があるんですよね」
「世の中にあるタイヤは、いろんな性能に特化したものが作られていますが、シンクロウェザーはすべてが80点なんです。飛び抜けて得意な路面がない代わりに、苦手な路面はないんです。だからこそ、どこへでも行けちゃうんです。そんなタイヤをイメージしていただけたらと思います」
この「全部80点」という表現の意味は、特定の条件において最強というわけではなく、「どの場面でも大きく困らない」という安心感を表現している。
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スタッドレスタイヤを買わない層にも備えを届けたい
──つまり、性能の総合点が高いということですが、いままでのオールシーズンタイヤと比べると、それを求めているユーザーは結構多いのではないかと感じます。
「以前、弊社から発売していたオールシーズンタイヤを選ばなかった理由を調査すると『氷上を走れないから』という声が多かったんです。オールシーズンを謳いながら、ある意味ではオールシーズンではなかったということですね。」
──見方によっては、シンクロウェザーはいままでのオールシーズンタイヤの上位互換ともいえるし、オールシーズンタイヤの完成形ともいえますね。
「それを踏まえて私が実現させたいのは、スタッドレスタイヤを『買ったこともない』『考えたこともない』という層に、シンクロウェザーを履いてもらうことです。この冬も首都圏で積雪が話題になりましたが、出かけるのを諦められた方って結構多かったと思うんですよ」
「スタッドレスタイヤをもっていないから諦めるのではなく、普段からサマータイヤとしてシンクロウェザーを履いてもらっていれば、『サマータイヤだから急に雪が降って移動できない』という事態やその不安も全部なくなるはずなんです。それが成人式や子どもの受験、大事な用事がある日の可能性もあるわけで。そして、普段から履いているからといって、とくにデメリットもないんですよね」
狙っているのは「雪国の当然」ではなく、「都市部の想定外」だ。備えがないことで移動を諦める。これは、そんな状況を減らしたいという生活の提案ともいえる。
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タイヤの備えが続かない元凶である手間をなくしたい
──サマータイヤででの雪道走行による立ち往生や事故は毎冬のように報じられていますよね。
「そのような交通事故やトラブルを防ぐことで社会的な課題を解決し、世のなかの役に立てると思っています。『スタッドレス買っておけよ』という意見がある一方で、サマータイヤと別でスタッドレスタイヤを買うのは、コストパフォーマンスの面でも積雪が珍しい地域ではかなりハードルが高いのもまた事実です。だからこそシンクロウェザーを履いておけば、『備えのハードルを大きく下げられる』と思います」
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──仮にスタッドレスタイヤに履き替えるという前提の場合、ホイールも1セット増やさなければいけないし、置き場所や運ぶという大きな手間が発生してしまいますよね。
「タイヤが組まれたホイールを運ぶのも重くて大変ですし、置き場所を確保するのも面倒くさい。置いていると家の景観を乱すことにもつながります。積雪が珍しい都市部などでは、『もうすぐ雪が降るらしい!』という頃にお店へ行ってもお客さんが殺到しているし、すでに予約がいっぱいで交換なんてできないですよね」
「仮に予約できたとしても、タイヤの準備や指定された時間での来店、作業の待ち時間や移動時間などで半日が潰れる。エネルギーが切れて残りの半日は何もしないということになりかねませんし、この苦労が夏と冬で年に2回。忙しい現代の皆さんが過ごす貴重な週末をつぶしてほしくないです」
ここは、生活軸の提案がもっとも伝わる部分だ。面倒や苦労が減ることで、「失われていた時間が戻ってくる」という価値がイメージできるだろう。
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シンクロウェザーは、尖った性能よりも「どの場面でも困りにくい」という優等生的な総合力に真の価値がある。そして、その良さが活きるのは、降雪への備えが行き届いていない都市部のユーザーだ。
履き替えと保管の手間、混雑やコストの悩み。そうした障壁を前にして備えが続かないというユーザーに対して、「普段履きのまま備える」という選択肢を提示する。ダンロップがオートサロンで描いたのは、タイヤの未来というより、日常生活における自由な時間の増やし方だった。