ヘッドライトのせいで廃車の可能性も
このヘッドライトの検査だが、いままではロービームで照射して暗かった場合、ハイビームにすることで規定値をクリアできれば合格となっていた。しかし、令和8年8月より、このハイビームでの検査が受けられなくなる。要するに、ロービームのみでの検査となってしまうのだ。
なので、ハイビームでいままで車検に受かっていたユーザーにとってはまさに死活問題。その令和8年8月の移行前に、すでに各地の陸運局ではプレ移行期間として、令和8年1月30日よりロービーム検査が標準化しつつあるのだ(移行期間は地域により多少異なる)。ただしこの制度は、本来令和6年8月から実施される予定だったのだが、当時業界が大混乱し、今日まで延期されていた背景がある。
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この背景には、「ロービームで検査して不合格な場合、何がダメなのかをユーザーに伝え、正確な整備・点検を促す」ことと、「ロービーム検査とハイビーム検査の2回検査を行うことなく、1回にすることで待ち時間を削減する」という事情があるそう。この検査に落ちた場合、「何がダメなのか」というデータが記載された紙が渡されるので、これをもとに再度整備、調整をする必要が出てくる。
ちなみに、このロービーム検査が標準となるのは平成10年9月1日以降に生産されたクルマが対象なので、これよりも古い年式のクルマはハイビームでもOKだ。二輪車や一部の大型特殊車なども除外される。
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ただ、これを聞いても「明るいバルブを入れたりすればいいんでしょ?」となる人も少なくないだろう。だが実際は、そんな簡単な話ではない。というのも、ヘッドライトの多くは樹脂でレンズができており、内部の反射材(リフレクター)も熱や紫外線で劣化するからだ。
要は、長年乗っているクルマによくある、黄ばんでしまったヘッドライトではこの条件がクリアできない可能性が出てくるということだ。
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「じゃあヘッドライトレンズ変えるわ!」……で、変えられるクルマならいいが、HIDを採用したヘッドライトは純正で買うと非常に高価であることが多い。でも、お金を積んで手に入ればそれはまだマシ。製造廃止となり、パーツが出ないとなるとさあ大変。最悪の場合、「ヘッドライトが出ないので車検に通せず廃車です」なんて例もあり得るのだ。人気車種であれば社外品ヘッドライトもあるが、これはサードパーティなので、車検をクリアできるか怪しい。実際、「車検不適合」、「車検非対応」と書かれている製品も多い。
レンズを磨いてクリアできればいいが、内部のリフレクターが劣化していたらいよいよアウト。中古品のヘッドライトで綺麗なものが手に入ればそれでもいいが、車種によっては需要が集中し、取り合いになる可能性もある。なお、テスター屋曰く、「そもそも形が悪くて、レンズが綺麗でも怪しいクルマもあります」と、以前教えてくれた。筆者の愛車もその1台らしい。
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「パーツが出なくて廃車」という悲しい経験をした人は結構いるが、それは特殊なパーツであったり、希少なクルマだったということが多い。しかし今回の場合、どんなクルマにもついているヘッドライトという、クルマにおける一等地についているメインのパーツがダメになり、乗れなくなる可能性が出てきてしまっているのだ。大袈裟かもしれないが、可能性はゼロではないだろう。
「レンズが傷んでいるけどまだ乗りたい!」という人で、ハイビーム検査が受けられない年式の人は、いまのうちに対策を考えておいたほうがいいだろう。Xデーはすぐそこだ。