シリーズの売上を伸ばすための切り札となった「クロス」
輸入車を見ても、フォルクスワーゲンT-CROSS、BMWミニクロスオーバー、シトロエンC3エアクロス、C5エアクロス、DS3クロスバック、DS7クロスバック、ボルボV60クロスカントリー、フィアット500X(クロス)、テスラ・モデルXなどもそうで、まさに「クロス」「クロスオーバー」の車名は百花繚乱という感じなのである。BMWのXシリーズもSUVを示す「クロス」と解釈していいだろう。
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ところでもともとSUVながら、わざわざ車名に「クロス」を冠したモデルを追加した例もある。ボルボEX30のクロスカントリー、ヒョンデのインスタークロスがそうだ。
ただし、EX30のクロスカントリーについては、BEVのEX30にクロスカントリー風のエクステリアデザインを与えただけのモデルではないところに注目だ。EX30が基本的にはFRであるのに対して、EXクロスカントリーは最低地上高を高め、4WDとなり、専用エクステリアデザインが与えられただけでなく、足まわりはノーマルよりソフトな乗り心地と走破性にこだわった専用サスペンション(スプリング)とアンチロールバーに改められている。ホイールアーチエクステンションの付加によってボディサイズはEX30の全長4235×全幅1835×全高1550mmから全長こそ変わらないものの、車幅は1850mmと幅広になっているのだ。同じEX30でも別物に近いキャラクターにクロスオーバーされているというわけだ。
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もともとBEVのコンパクトSUVであるヒョンデ・インスターの追加グレードとなる「クロス」は、エクステリアデザインの変更こそ最小限(フロントまわりぐらい)で、基本スペックも他グレードと同一ながら、なんとルーフキャリアを標準装備することで、ほかのグレードにない”なんちゃって”アクティブスタイルを演出するめずらしい例といっていい。
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というわけで、もはや「クロス」「クロスオーバー」「クロスター」「クロスカントリー」といったネーミングが付くモデルのラインアップは、自動車メーカーにとって注目度を高めシリーズ全体の売れ行きを伸ばすための切り札ともいえそうなのである。VWのコンパクトクロスオーバーモデルのT-CROSSの売れ行きが好調なのも、そのクロスオーバーしたSUV風のスタイリング、ネーミングによるところかも知れない。
余談ながら、かつての勢いを失った国産コンパクトカーの雄、ホンダ・フィットだが、標準車は極めてほのぼのとしたインパクトに欠ける犬顔のスタイリングながら、クロスオーバーモデルのクロスターになると俄然、カッコよくなる……なんて勝手に思っているところだ。