ゴミから作った素材でクルマを作る! いま世界のクルマ業界は「本革離れ」が進んでいた

この記事をまとめると

■富裕層を中心に本革製品離れが加速している

■ボルボはすべての電気自動車でレザーフリーを推進している

■現在はヴィーガンレザーやエコレザーなどさまざまな素材がクルマの内装に使用されている

レザーフリーを宣言しているメーカーもある

 富裕層やいわゆる意識高い系の人たちを中心に、本革製品離れが加速しているといわれています。その流れはファッション業界にはじまり、自動車業界でも多くのメーカーが非レザー素材の採用を進めており、ペットボトルをリサイクルしたシート表皮や、植物由来の樹脂を使ったパネル、回収したバンパーなどを粉砕して再生した、悪くいえば「ゴミ」から作られた素材を採用しているクルマも増えてきています。

 なかでもボルボは、2021年9月に「動物福祉の一環として、すべての電気自動車でレザーフリーを推進する」と宣言。2024年に登場したEX30では、レザーフリーとしただけでなく、リサイクル素材およびバイオ素材のプラスチックを17%、リサイクルアルミニウムを25%、リサイクルスチールを17%使用して、ボルボ史上もっともカーボンフットプリントの少ないクルマとして注目を集めました。

 しかも、それを知らずに見たらそんなにリサイクル素材が使われているとは思えないほど、モダンでオシャレなインテリア。再生された原料は多岐にわたり、ウールやコルク、破砕したブラインド、廃棄されたデニムの繊維など、「そんなモノまで使えるのか!」と驚いてしまいます。ボルボの場合は、リサイクル素材でレザーを作るのではなく、新たな素材でこれまでにないインテリアを作り上げているところが素敵ですね。

 一方で、本革のような手触りや上質感を求めた、いわゆる「ヴィーガンレザー」を採用しているメーカーもあります。たとえばマツダは、MX-30に「プレミアムヴィンテージレザレット」という人工皮革を採用。生産工程で有機溶剤を使用しないため、環境汚染を起こさない製品でありながら、質感や触感は本革に近いレベルを実現しています。

 クルマのインテリアにはこれまで合成皮革が多く採用されてきたのですが、大量生産体制が整っているので価格が安い反面、寿命が短いことや質感が本革よりも劣ることがデメリットといわれていました。でも人工皮革は内部の構造に不織布層を入れて緻密にしており、限りなく本物の皮革に近づけていて耐久性にも優れているところがポイント。ただ、大量生産体制が整っていないので価格は高くなっています。このほかに、植物由来の原料を使ったヴィーガンレザーがありますが、軽くて水に強い性質が強みではあるものの、やはり価格は高く、耐久性の面でも約10年ほどといわれています。

 ちなみに、同じように「環境にやさしい」というイメージの革製品で「エコレザー」や「リサイクルレザー」がありますが、合成皮革でも人工皮革でもなく、こちらは本革です。エコレザーは、生産工程での有害な化学物質の使用を低減し、排水や廃棄物処理が適正に管理されて作られた本革製品のこと。リサイクルレザーは、皮革製品の生産工程で出る端材や破片を粉砕して、再加工した素材を使っている製品のことを指しています。

 どちらも環境負荷を減らしつつ、いいものが作れるという理想的な形ですが、やはり手間がかかるのでまだ価格は高めなのがデメリット。でも、このままでは地球が破滅へと向かってしまうのを何とか食い止めるためには、高額になるのも仕方がないのかもしれないですね。

 クルマのインテリアでひとくちに「レザー」といっても、いろんなものがあります。そのクルマがどんなレザーを使っているかによって、開発者の想いや世界観を想像してみるのも面白いのではないでしょうか。


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まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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