膨大なコストがかかるSDV分野の効率的開発には必須
企業論理でいうと、共同開発にはコストメリットがある。
SDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル=ソフトウェア定義車両)といった言葉を目にすることも多いが、SDVのベースとなるシステム開発には多大なコストがかかる。注目度の高い自動運転テクノロジーについても開発コストの負担が大きい。
SDVや自動運転といったテクノロジーを共用できる領域について、複数の自動車メーカーが協力することは、開発コストを分散することにつながる。開発リソースの話でいえば、1社が1000億で開発をするよりも、5社で5000億かけたほうがいいものができるという見方もできる。また、複数社が協力することで全体としての開発費を4000億に下げることができれば、1社あたりのもち出しは800億で済むので、コスト分散によるリスク低減にもつながる。
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そのほか、複数社が共同開発することでデファクトスタンダード(実質的な業界標準)を取ることができれば、インフラやサービスの“事実上の規格”として市場の主導権を握ることができる。つまり、ユーザーが選ばざるを得ない状況となり、商品力がアップする。
こうした開発リソースの分散やデファクトスタンダードの獲得は、共同開発によるスケールメリットともいい換えられる。
まとめると、共同開発は“いいもの”を作ることができ、各社のリスクを下げることが期待できる。だからこそ、さまざまな領域において共同開発プロジェクトは進められているのだ。
そして、共同開発が広がる自動車業界において注目すべき存在がメガサプライヤーと呼ばれる大手部品メーカーである。メガサプライヤーの代表的な企業はボッシュ(ドイツ)、デンソー(日本)、ヴァレオ(フランス)などだろうか。
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こうしたメガサプライヤーが、実質的に自動車メーカーをつなぐことで開発力を強め、リスクを分散させているケースも増えている印象だ。表向きには見えなくとも、結果的に共同開発のようになっていることもある。
前述したSDV領域においては、各種センサーと車両制御、インフォテイメントシステムの統合も求められる。そうして複雑に絡み合うほど、メガサプライヤーが扇の要のようになって、基本エコシステムを各自動車メーカーに供給することが必要となる。一般ユーザーには見えづらい部分でメガサプライヤーの影響力が大きくなっていきそうだ。
いずれにしても、自動車メーカーが個社で生き残りを図ることは難しい時代であることは間違いない。陰に日向に、共同開発プロジェクトが進んでいくことが予想されるのが2020年代の自動車業界である。そうした動きがユーザーにとって満足度の高いクルマを生み出すことを大いに期待したい。