この記事をまとめると
■3D映像は距離や形状を直感的に把握しやすい技術である
■建設機械の遠隔操作で安全性と効率向上を実証
■災害復旧現場で迅速化にも貢献する成果が確認されている
技術革新が現場の在り方を大きく変える
よく2Dや3Dなどといった言葉を耳にするが、これは「two-dimensional」や「three-dimensions」の略。日本語では「2次元」「3次元」などと訳されている。要するに2Dは平面であり、3Dは立体という認識で大筋間違いはない。アニメ・漫画・ゲームなどを「2次元」などと表現するが、これは平面に描かれている映像だから。当然のことながらそれはそれで十分認識できて楽しめるのだが、一般に人は3D(立体)のほうが距離や形を把握しやすいとされている。
これまでも、自動車や鉄道・航空機といった乗り物の訓練には、シミュレーターが使用されてきた。ここで使用される映像は、基本的に2Dである。それでも、十分訓練として用を足してきていることからも、2Dが没入感のない認識しにくい映像であるとはいえない。しかし、前述のように3Dのほうがより現実に近い感覚を養えるのだ。
建設機械の世界では、一般公道を走る車両よりも自動化の動きが進んでいるとされる。なぜなら、多くの土木・建設現場は閉鎖空間になっているからだ。すなわち、公道のように一般の歩行者・自転車・バイク・車両が侵入しない。いわば「ゆりかもめ」といった新都市交通機関のように、完全無人運転も夢ではないのである。
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また、自動化に至らなくても遠隔で操作をするという動きも活発だ。建設機械の遠隔操作は、たとえば操作盤を本社などの事務所に設置し、そこから現場の重機を操作するといったシステムを用いるといった方法をとる。これなら、同じ事務所から異なる現場にある重機を操作することが可能になるのだ。すなわち、オペレーターがひとりいれば複数の現場の重機を動かすことができるようになるのである。
この遠隔操作システムの操作盤に3D映像を活用し、遠隔からより安全な作業を行おうという取り組みが行われている。石川県白山市にある映像ソリューションを提供するEIZOと、大手ゼネコンの大林組がタッグを組んで導入した「3D映像表示技術を用いた遠隔操作ソリューション」がそれだ。
3D映像表示技術を用いた遠隔操作ソリューション画像はこちら
背景には、2024年度に実施した「能登半島地震地すべり緊急復旧工事」において、安全性と効率性が求められていたことにある。そこで、両社は本ソリューションを導入。現場で実際に重機に搭乗して施工する感覚に近い距離感を再現したことで、オペレーターが複数の映像を同時に確認しなくても、操縦に集中して作業ができる環境を構築したのである。
今回の導入では、以下の3つの効果が見られた。
①ショベルカーによる崩土積み込み作業では、3D映像を使用したことで奥行きに対するオペレーターの認識が向上し、作業スピードが速くなった。→作業性の向上
②石川県(作業現場)と千葉県(操作盤)といった長距離で、同期のとれたステレオ映像が安定的伝送された。これにより、遠隔からの安全な操作が可能であることを実証した。→安全性の確保
③2D映像では必要な設置に時間のかかる俯瞰映像用カメラが不要になったことで、初動対応スピードが向上した。→災害復旧の迅速化
建設機械の遠隔操作は、まだ発展途上にある。今後、さらなる技術の進歩によって現場の抱える問題が、解決されることに期待がかかっているのである。