この記事をまとめると ■S耐第1戦「もてぎスーパー耐久」が2026年3月21・22日に開催
■スバル の話題の新マシン「ハイパフォX2」がレースデビューを果たした
■新マシンゆえの新たなトラブルも発生したが潜在能力は非常に高そうだ
進化した新マシンはトラブルが発生しても伸び代を感じさせた ENEOSスーパー耐久シリーズ2026 Empowered by BRIDGESTONE第1戦「もてぎスーパー耐久」が、栃木県のモビリティリゾートもてぎで、3月21〜22日に開催されました。Team SDA EngineeringがST-Qクラスに投入した、SUBARU HIGH PERFORMANCE X version II(以下ハイパフォX2)は、トラブルが発生しながらも無事に完走を果たし、非常に高い完成度で今後に期待できる走りを見せてくれました。
第1戦「もてぎスーパー耐久」に参戦のスバル・ハイパフォX2の走行シーン 画像はこちら
昨年のジャパンモビリティショーのスバルブースで発表された「Performance-B STI concept」は、「スバルのパフォーマンスシーンを象徴する内燃機関をベースとしたコンセプトモデルで、動的性能の高さや力強さと実用性を両立させたデザインを採用。また、これまで磨き続けてきた水平対向ターボエンジンやシンメトリカルAWDなどのアセットを柔軟にアレンジし、多くのユーザーにクルマを操る愉しさを提案するモデル」と紹介されました。
この既存のアセットを活用という同じ思想で開発されたハイパフォX2は、東京オートサロン2026のスバルブースでお披露目され、注目を浴びたことをご存じの方も多いでしょう。このときはまだ必要な装備も十分に装着されていない状況でしたが、 Performance-B STI conceptに比べ、ロールケージなどが装備された分、コンセプトカーではなくレースで走るクルマだということを感じさせました。
東京オートサロン2026に展示されたスバル・ハイパフォX2 画像はこちら
オートサロンから約2ヵ月を経た3月1日、モビリティリゾートもてぎでのスーパー耐久公式テストで走行シーンが見られると、そのスタイリングや走りに大きな注目を浴びました。そして3月21日(土)予選、22日(日)決勝の、S耐開幕戦のもてぎスーパー耐久4時間レースにていよいよ実戦デビューです。
レースフォーマットとしては、21日(土)の朝から予選が開始され、22日(日)の午後から4時間のレースとなります。ハイパフォX2はST-Qというスーパー耐久未来機構(STMO)が認めたメーカーの開発車両が走るクラスです。賞典外とはなりますが、他のクラスと同じく順位を決めていきます。
木曜日のスポーツ走行は晴天のなかで走行が行われ、各部分の確認やセットアップを見つけていきます。金曜日の占有走行の午前の枠は小雨まじりとなり、晴天とは違うセットアップを見つける作業も行われました。午後の走行枠は曇り空のなか、気温も低かったのですが、晴天が予想される予選や決勝を見越したセットアップが行われていきました。
第1戦「もてぎスーパー耐久」に参戦のスバル・ハイパフォX2の走行シーン 画像はこちら
迎えた予選は土曜の朝8時から行われ、Aドライバーを努めるスバル社員ドライバーの伊藤和広選手が走行を始めますが、早朝で気温と路面温度が低く、タイヤの発熱もしにくい状況でスピンを喫してしまうなど苦戦しました。それでもその後はしっかりとタイムを刻みます。Bドライバーの山内英輝選手は短い予選時間のなかでもしっかりタイムを刻んで行きます。その後、Cドライバーの井口卓人選手、Dドライバーの 花沢雅史選手が基準タイムをクリアしつつ、セットアップの方向性を確認していました。
予選後にスバルピットでプレスブリーフィングが行われ、Team SDA Engineeringの伊藤奨監督兼チーフエンジニアの説明によると、以前走らせていた「HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPT(以下ハイパフォX)」では、パッチ的にアップデートパーツを組み込み、場所によっては継ぎはぎ状態となっていたと言います。ハイパフォXで得た知見やスバル社内の解析チームの協力のもと、ハイパフォX2では剛性やパワーの伝達をより柔軟に素早く行うためのボディを作るため、ホワイトボディ状態からスポット増しや剛性パーツを組み込んでボディを作り上げたそうです。
Team SDA Engineeringの伊藤奨監督兼チーフエンジニア 画像はこちら
ボディ形状もハイパフォXはWRX S4ベースのセダンボディでしたが、今回のハイパフォX2はクロストレックベースに、レヴォーグレイバックのフロントマスクを組み合わせたハッチバック形状になっています。空力は、現状ではフロントに目立つようなエアロは装着されておらず、リヤウイングとリアアンダーディフューザーを装着する程度となっています。
片側50mm拡幅された前後オーバーフェンダーにも大きなエアアウトレットが装備され、エンジン房内やタイヤハウス内の空気を適切に抜くように作られています。これらも解析チームの空力解析や、航空宇宙カンパニーと協力しているそうです。リヤウイングにはハイパフォXでも採用されていた、再生カーボンを使用しています。
スバル・ハイパフォX2のリヤウイング 画像はこちら
エンジンはハイパフォXからのキャリーオーバーとなり、FA24型水平対向4気筒ツインスクロールターボエンジンを搭載。最大出力364馬力、最大トルク375Nmとなり、ST-Qクラスのマシンで共通して使用している、エネオス製E20低炭素燃料を使用しています。
スバル・ハイパフォX2のエンジン 画像はこちら
駆動系も6速MTとドライバーズコントロールデフ(DCCD)という、ハイパフォXからのキャリーオーバーとなりますが、DCCDのギア比をVAB型WRX STIの41:59から、ハイパフォX IIでは34:66とすることで、「より舵角を小さく、速く走れる」クルマにしているそうです。前述の通り、片側50mm拡幅されたボディに合わせてアップライトやロアアームをワイド化に対応したものに作り変えているそうです。
ドライバーは昨年までと同様にスバル社員ドライバーの伊藤和広選手、花沢雅史選手、プロドライバーの井口卓人選手、山内英輝選手が努めます。ドライバー4人がレース中に触る頻度や操作の傾向を分析し、インパネのセンターパネルやステアリングのスイッチなどの配置を最適化しているそうです。センターパネルも再生カーボンを含有した樹脂パネルを使用しているとのことです。