この記事をまとめると
■パッケージングとはエンジンや足まわりを含めた車両全体の配置設計を指す
■ホンダN-BOXは空間効率を重視し室内や荷室の広さを最大化する工夫が施されている
■一方でスポーツカーでは走行性能やデザインを優先して運動性能を高める設計が採用される
軽もスポーツカーも鍵は配置にあり
クルマの分野では、しばしば「パッケージング」という言葉が使われる。日常用語の「パッケージ」は「包装」とか「詰め合わせ」のような意味だ。お菓子のセットとか、ホテルのアメニティなども「パッケージ」に含まれる。
クルマの「パッケージング」も詰め合わせの意味に近いが、定義するなら「エンジンやサスペンションなどのメカニズムまで含めた広い意味での車両レイアウト」になる。
その要素は前後、左右、上下方向の配置にまで及ぶ。たとえばホンダN-BOXのパッケージングであれば、エンジンは補機類の配置まで含めて縦長に設計している。駆動方式も前輪駆動だから、エンジンと駆動システムはボディの最前部に小さくまとめた。N-BOXは全高が1700mmを超えるスーパーハイトワゴンだから、ボンネットを高く設定して、前後方向の居住空間を広げるクルマづくりが可能になる。
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同様のパッケージングの考え方に基づき、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)を軽自動車で最長の2520mmにすることで、室内空間を広く確保した。クルマの室内空間は前後輪の間に位置するため、ボンネットを短く抑えてホイールベースを長く設定すれば、居住性や積載性を向上させられる。
そして乗員の着座位置は高く設定した。ソファのような着座位置の低いシートでは、乗員の足が前方に投げ出されて前後方向に長いスペースを必要とするが、ダイニングチェアのような着座位置の高い(床と座面の間隔に余裕がある)シートなら足が前方へ投げ出されない。N-BOXはダイニングチェアのような座らせ方にして、前後方向のスペースを節約して主に荷室を広げた。これもパッケージングの大切な要素だ。
さらにN-BOXは、燃料タンクをボディの後部ではなく前席の下に搭載した。着座位置が高いため、前席の下に広い空間が生まれたから、このスペースをムダにしないで燃料タンクを配置した。
前席の下に燃料タンクを配置した結果、荷室の床が下がり、荷室高をタップリと確保している。しかも燃料タンクが前席の下にあるから、後席の下には空間があり、後席の座面をもち上げて車内の中央に背の高い荷物を積めるようにしている。
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以上のように、N-BOXなど実用重視の軽自動車やミニバンは、スペースを節約できるパッケージングを採用する。逆にスポーツカーは外観をカッコよく見せて、走行性能を高めるパッケージングになる。
たとえばかつてのホンダNSXやトヨタMR2のようなミッドシップスポーツカーは、重いエンジンをボディの中央に搭載する。重量物が前後輪の間にあれば、前後の荷重バランスが優れ、なおかつ旋回時に慣性の影響も受けにくいからだ。また、ミッドシップでは車両の前側にエンジンを搭載しないため、いまは歩行者保護要件があるものの、ボンネットの高さを低く抑えられる。そうなれば空気抵抗の少ない、鋭角的でカッコいい外観デザインも採用できる。
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以上のようにパッケージングは、クルマのカテゴリーを問わず、車両の機能を大きく左右するクルマづくりの基本要素だ。そのために「パッケージング」の言葉が頻繁に使われるのだ。