スズキもダイハツも勝てない! 誰もN-BOXを超えられない理由とそこにあるホンダの苦悩 (1/2ページ)

この記事をまとめると

◼︎軽自動車の販売総数では両社ともホンダに勝っているが車種別でN-BOXが一番売れている

◼︎先代が大ヒットしたおかげで、2代目はよりブラッシュアップされ人気が加速

◼︎売れすぎてしまい、社内で共食い状態になっているという悩みもある

先代N-BOXが一躍人気になったことで売れ行きを伸ばした

 2020年度(2020年4月から2021年3月)の軽自動車届け出台数を見ると、ホンダN-BOXが19万7900台を達成して1位になった。2位はスズキ・スペーシアで14万5319台、3位はダイハツ・タントで12万8218台だ。

 過去を振り返るとN-BOXは、先代型を販売していた2015年/2015年度から、一貫して軽自動車の届け出台数1位であり続ける。軽自動車の販売総数では、ダイハツとスズキに次ぐ3位がホンダの定位置だが、車名別販売1位はN-BOXが守る。

 なぜダイハツやスズキの軽自動車は販売1位になれないのか。背景には複数の理由がある。

 まず先代N-BOXが成功したことだ。空間効率を徹底的に高め、前輪駆動の軽乗用車では最も広い室内を確保した。燃料タンクを前席の下に搭載したから車内後部の床が低く、後席を畳むと大容量の荷室になって自転車も積みやすい。

 軽自動車の小さなボディと、広い車内の組み合わせには、誰もが驚かされた。後席や荷室を使わないユーザーも、購買意欲を刺激され、先代N-BOXは好調な売れ行きを達成している。

 先代モデルの大ヒットにより、ホンダはN-BOXが好調に売れる自信を得たから、2代目の現行型には十分な開発費用を充当した。内外装の質を高め、前席は座り心地も上質だ。乗り心地も快適で、エンジンなどのノイズは小さい。運転支援システムは、タントやスペーシアに先駆けて採用され、すべての機能が「N-BOXで十分」と思わせる。先代型が好調に売れたから、乗り替え需要も豊富で、2017年以降は小型/普通車まで含めて国内販売の総合1位になった。

 N-BOXが好調な理由として、ほかの軽自動車の伸び悩みもある。もっともわかりやすいのは、N-BOXのライバル車となるタントの動向だ。先代タントは2013年に発売され、2014年度には21万4867台を届け出して、軽自動車の販売1位になった。この時に先代N-BOXの届け出台数は18万8922台だから、軽自動車の2位であった。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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