セラミックコーティングとも別物
しかし、グラフェン特有のメリットは存在する。それは優れた耐薬品性と擦り傷への耐性である。グラフェンコーティングは酸性雨やアルカリ性の汚れなど多様な劣化因子から塗装を強力にガードし、ケミカルを用いた洗浄作業にも耐えうる。また、被膜が非常に硬いため、洗車時や日常で発生する細かい線傷を防ぎやすい。深みのある艶と強い撥水力も備えており、汚れが流れやすくウォータースポットなどのシミができにくい点も高く評価されている。
撥水するボディ画像はこちら
耐久性については、セラミックコーティングが3〜7年程度なのに対して、グラフェンコーティングは適切なメンテナンスを前提として5〜7年程度の耐久性が期待できるという。また、グラフェン特有の性能として帯電防止特性と熱伝導性があるため、実車での効果は製品により差があるが、埃の付着を軽減し、理論上は熱拡散性が高いとされる。
グラフェンコーティングには、専門業者が施工する硬化型メニューと、一般ユーザーが市販品を使用してDIYで施工する方法がある。プロの専門店で施工する場合、クルマのサイズによって10万〜25万円の費用がかかる。一般的にガラスコートの相場は5万〜15万円ほどなので、比較すると高額ではある。溶剤自体が高価であることに加え、下地処理や施工難易度が高く、時間を要することが理由だ。専門店では溶剤の濃度も濃く、純水による洗浄や遠赤外線乾燥ブースを用いた完全硬化など、個人では不可能な高度な施工環境が用意されていることが多い。しかし、取り扱い専門店がまだ限られているため、施工を依頼する際は下地処理の設備と実績を事前に確認することが重要である。
下地処理のイメージ画像はこちら
その他、一般向けに濃度を調整したグラフェン商品を利用して自分で施工することもできる。ただし、市販品は下地処理に限界があるため、プロが施工するほどの美しい仕上がりや耐久性は担保されない。自身の予算と洗車頻度、そして求める品質に合わせて最適なアプローチを選択したほうがいいだろう。
グラフェンコーティングは「万能の切り札」ではなく、静電気防止・熱伝導性・ウォータースポット耐性という独自の特性を加えた次世代素材だ。2026年現在、この素材はカーケア業界で急速に普及が進んでおり、今後さらなる製品の多様化と価格変動が見込まれる分野である。様子を見ながら施工するタイミングを見極めたい。