軽自動車の本質は守らなければいけない
この先の軽自動車規格の変更についてはいろいろと議論がされていて、5人乗車化に伴うボディサイズの拡大やエンジン排気量の拡大が主な焦点となっているが、いまの軽自動車のサイズが日本の狭い道で大活躍してくれていることを忘れてはいけない。また、サイズアップによってスーパーハイト系軽自動車の兄貴分ともいえるトヨタ・ルーミーやスズキ・ソリオとの差別化も怪しくなる。
軽自動車ならではの小さく軽いゆえの税金面での優遇もしかりだ。そもそも最新の軽自動車では高価格化が目立っており、とくに売れ筋のスーパーハイト系では300万円に達するほど。これ以上ボディサイズやエンジン排気量の拡大があったとすれば、「安く買えるクルマ」としての軽自動車の立ち位置が大きく変わってしまいかねない。
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とはいえ、先日ホンダN-ONE e:で高速道路に足を踏み入れ、緊急回避的なレーンチェンジを行った際に、やはりトレッドの狭さによる安定感という点では、床下にバッテリーを敷き詰めた低重心が売りだったとしても、「なるほど軽自動車の域を出ていない」と感じたのも本当だ。開発陣も、トレッドの狭さによる限界であると証言している。
そこで提案だ。ボディサイズはコンパクトカーとの差別化を図るため、とくに全長に関しては現在の軽自動車づくりにおけるパッケージングの巧みさによって前後席ともに十分なスペースがあるからいまのままでOK。
しかし、全幅に関しては、室内の余裕というより左右のタイヤの間隔を広げて安定感を増すために、もう少し広げてもいいように思える。だったら室内の幅も広がるわけで、「同時に現在の4人乗りから5人乗りにしてもいいんじゃない?」という声が聞こえてきそうだが、軽自動車は自然吸気エンジンが販売の中心でもあり、そのパワーで5名乗車を許容したとすると、動力性能だけでなく安定性を含む安全性能が不足する可能性がある。それを克服するにはコストがかかり、車両価格がさらに高騰するという悪循環に陥る心配があったりする。
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エンジンの660ccに関しては、排気量拡大の議論もされてはいるが、これもまた価格高騰の原因になる。仮に770cc、950ccという、税金面で排気量1リッター以下として優遇される排気量アップしたエンジンが積まれるにしても、660ccのエンジンは軽自動車の価格維持のために残すべきと考える。
そして、ナンバープレートの色である。ボディカラーによっては黄色のプレートがデザインを台無しにしてしまうこともありがちだ。これまで、ラグビーやオリンピック記念の白いナンバープレートを付けた軽自動車も見かけるが、それだけでナンバープレートの違和感がなくなり、車格感が高まるではないか。
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そもそも高速道路で料金所の係員が普通車との料金を見わけるために軽自動車に黄色いナンバープレートを与えたとすれば、高速道路の料金所のETCレーンが当たり前になったいま、ETC車載器に軽自動車であることのデータを入れておけばいいだけで、料金所の係員がナンバープレートの色で軽自動車か否かを見わける必要は、ほぼないといえる。
こうした変更を行えば、クルマのダウンサイジングのために軽自動車の購入を考えていて、しかし黄色いナンバープレートへの抵抗から躊躇していた人たちの軽自動車への乗り換えがグッと加速するに違いないと思えるのだ。ユーザーがいちばん大きく変えてほしいのは、ボディサイズでも定員でもエンジンの排気量アップでもなく、ナンバープレートの色だったりして……。最新のホンダN-BOX、日産ルークス、三菱デリカミニなどの走行性能や快適性、燃費のよさ、そして驚愕に値する居住空間のゆとりを知れば、なおさらそう思ってしまう。
後ろから見ると妙に縦長にヒョロリと見えてしまうスーパーハイト系軽自動車の車幅がもうすこし広がれば、見た目のカッコよさが高まる……ということもあったりする。