この記事をまとめると
■山道が曲がりくねっているのは傾斜を抑えるため
■直線化やトンネル化はコストと技術の問題で難しいことが多い
■歴史を辿れば地形と車両性能によって道路形状が決まっているといってもいい
地形に沿ったルート設計が現実的
山間を通る屈曲路(ワインディングロード)は、運転が好きな人には楽しみな道のりだろう。一方、運転が苦手であるとか、あまり好きではない人には、「なぜまっすぐではないのか?」「トンネルにできなかったのか?」と、疑問が次々に湧いてくるかもしれない。
日本は平地が少なく、山岳地域が多い。しかも細長い国土に急峻な山々があるため、そこを通り抜けるには曲がりくねった道を進まなければならなくなる。山間の道路が曲がりくねっている理由は、登り坂の傾斜をできるだけ抑えるためだ。まっすぐ登れば距離も短く、ハンドルを切る手間も省けるが、それでは傾斜の急な坂になり過ぎて、クルマの性能が追い付かず登れないといった事態が起こるかもしれない。
ワインディングロードのイメージ画像はこちら
かつて、日本の乗用車がまだ黎明期であった戦後まもなくは、箱根の山がクルマの性能を評価するひとつの試験の場となっていた。箱根の山は江戸時代から人が徒歩で越えるにもひと苦労するほどであった。もちろん曲がりくねった道のりではあるが、それでも傾斜のきつさは開発間もない日本のクルマにとって過酷であった。登り切れるかどうかはもちろん、エンジン回転を全開で走り続けるあまり、加熱してオーバーヒートにより止まらざるを得ないこともあったようだ。
それならば、山を登らず地下トンネルを掘ってはどうかと思うかもしれない。トンネルを掘れば、山の下を直線的に抜けられる可能性も出てくるだろう。しかし、トンネルを掘ることはそうたやすくない。たとえばトンネル工事は、高速道路を造るより費用がかかるといわれる。地中の地質も調べなければならない。また、穴を掘った上の土砂が落ちてこないよう、頑丈な構造を用いなければならない。
山中のトンネル画像はこちら
ほかにも、トンネル内に滞留しがちな排気を外へ出すための装置、あるいは万一の火災発生に対する退避の検討やそれを支援する設備など、追加の工事が加わることになりそうだ。
一方、山の斜面を伝っていくのであれば、等高線を見ながら道筋を決め、傾斜角度も考慮しながら道路をつくることで、無理ない走りの実現と建設費を抑えることができる。もちろん途中で渓谷を越える場合は橋の建設が必要になるが、それは部分的な工事費の追加である。
それでも、日本には山岳地域を抜ける長いトンネルが存在する。中央道の恵那山トンネルや笹子トンネルは、山間を走る高速道路として古くから知られる。それ以外にも国内には全長3kmを超えるトンネルが140以上もあるそうだ。
いずれにしても、トンネルを造るには莫大な費用がかかる。通行料金や税金で賄うなど、その費用を捻出する方法が確立すれば、運転が苦手な人にも安心できるまっすぐな道をトンネルで通すことはできるだろう。