知れば知るほど日本のミニバンって凄い! これだけは輸入ミニバンにはマネできない「至れり尽くせり」っぷり (2/2ページ)

スライドドアだけじゃないミニバンの進化

 そんなシボレー・アストロを始め、シボレー・エクスプレス、GMCサバナ、ダッジ・ラムバンといったアメリカのミニバンには、もうひとつ使いにくさがあった。それがバックドアの開き方。1枚のパネルが大きく上方に開くものではなく、多くが観音開き、つまり左右に開くバックドアだったのだ。

 実用性としては、天井が低い場所での開閉、車体後部にスペースのない場所でも開きやすい、というか荷物を出し入れしやすいメリットはあるものの、当然、左右のバックドアの内側のピラーによって、後方視界が左右に分断され、1枚のバックドアより後方視界が劣るデメリットをもたらすことになる。

 ここで、3代目(2005年~)からやっと両側スライドドアを備えたホンダ・ステップワゴンの5代目(2015年~)を思い出してほしい。バックドアに横開き式のサブドアを組み合わせたわくわくゲートを採用し、車体後部にスペースのない場所でもバックドアが開けやすく、荷物を出し入れしやすく、バックドアから人や犬が乗り降りできるという「第3のドア」というメリットを生み出した。

 しかし、後ろから見ると左右非対称で、後部衝突時のメンテナンス性(多くのパネルに損傷を受け、修理費用がかさむ)に不安があるとともに、アメリカの観音開きバックドア同様、後方視界の中央にピラーが存在し、真後ろの直接視界が一部制限されるという点で、とくに女性ユーザーから不評を買い、6代目ではわくわくゲートを不採用にしたのである(復活を望む声は社内外からあるそうだが……)。

 また、国産ミニバンには”かゆいところに手が届く”ような収納の豊富さがあり、たとえば運転席インパネ上にも蓋付きのポケットが備わり、ティッシュボックスをスマートに隠し置けるスペースがあるなど、日本人感覚の使い勝手を追求している。

 カップホルダーにしても、ファミリーユース、子育て世代御用達でもある国産ミニバンは深く安定して飲み物が置け、紙パックにも対応しているケースがある。5代目ホンダ・ステップワゴンのカップホルダーは前席5個、2列目席6個、3列目席5個と、合計16個もある(シートバックテーブルを含む)ほどで、収納にしてもどこに何を入れたか忘れそうなほど充実していたのである。

 しかし、輸入ミニバン、それも高級車になるほど、インテリアデザインの高級感にこだわるためか、車体が大きく室内が広い割に、これでもかというほどの収納、カップホルダーが用意されているわけではない。そうしたところも、国産ミニバンから輸入ミニバンに乗り換えると、ちょっぴり不満に思えてしまうポイントかも知れない。

 もっとも、シトロエン・ベルランゴ、プジョー・リフター、フィアット・ドブロの三兄弟のような、本国では働くクルマでもある実用ミニバンには、十二分かつ工夫された収納がしっかり用意されている。ただし、欧州の実用ミニバン(伊・仏)には、パワースライドドアが採用されていないのが通例。けっこう重い開閉を強いられることは覚えておきたい。

 ちなみに現在、日本で買える輸入ミニバンは、実用度もバッチリのフォルクスワーゲンID.BUZZ(両側パワースライドドアの電気自動車)、メルセデス・ベンツVクラス(両側パワースライドドア)、フォルクスワーゲン・ゴルフトゥーラン(リヤヒンジ式ドア)、そして上記のシトロエン・ベルランゴ、プジョー・リフター、フィアット・ドブロと、新たにわったルノー・グランカングー(いずれもパワースライドドアなし)ぐらいのものである。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
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スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
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