この記事をまとめると
■1960年代に活躍したローラT70はスポーツカーレース界を席巻した
■2026年にT70Sとして復活し当時の設計を忠実再現しつつ進化
■サーキット専用と公道仕様の2モデルで計16台のみ生産となる
伝説のオリジナルを忠実に再現
レースマニアなら、「ローラT70」という名前を聞いて心が揺さぶられる人は世界中に多いだろう。1964年にエリック・ブロードリーが設計したこのレーシングカーは、アルミニウム製モノコックシャシーに大排気量のアメリカ製V8エンジンを搭載し、1960年代のスポーツカーレース界に革命をもたらした存在だ。
1966年にはCan-Amシリーズの初代チャンピオンを獲得。1969年のデイトナ24時間レースでは1-2フィニッシュを飾り、伝説のフォードGT40やポルシェ908を退けた。かのスティーブ・マックィーンがスポーツ・イラストレイテッドの撮影でT70 Mk1に乗り込んだ写真でも知られている。
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日本でも1967年の日本グランプリにローラT70が登場し、その後もタキ・レーシングチームなどを通じてたびたびサーキットに姿を見せた。マーク1からマーク3Bまでの全バリエーションを合わせても100台あまりしか生産されなかった希少性も、その神話に拍車をかけている。
そのT70が、2026年に新たな命を吹き込まれた。ローラ・カーズは、新オーナーのティル・ベヒトルスハイマー会長のもと2022年に事業を再開。フォーミュラEへの参戦で持続可能なモータースポーツ技術を磨きながら、満を持して発表したのが「T70S」と「T70S GT」の2モデルだ。
ローラT70S(左)とT70S GT(右)画像はこちら
開発にあたってローラは、現存するMk3Bの実車を高解像度でスキャンし、オリジナルのアーカイブ図面と照合。すべての寸法をオリジナルに忠実に再現することにこだわった。ベヒトルスハイマー会長は「単なるコンティニュエーションモデルにはしたくなかった。そういうモデルはもうやりすぎだと感じている」と語る。
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サーキット専用モデルの「T70S」は、オリジナルと同じシボレー製5リッターV8エンジンを搭載し、最高出力は530馬力。ヒューランド製5速ミッションもまた、当時と同じ仕様だ。乾燥重量は860kg、パワーウエイトレシオは1トンあたり616馬力という数字が物語るとおり、0-100km/h加速2.5秒、最高速度327km/hという凄まじいパフォーマンスを誇る。さらに全車にFIA HTP(ヒストリック・テクニカル・パスポート)が付属するため、ポルシェ908やフォードGT40と肩を並べてヒストリックレースに出場することができる。
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公道走行可能な「T70S GT」はまったく異なる構成となる。6.2リッターのシボレー製V8が搭載され、最高出力は500馬力。ヒューランド製6速ミッションはシフト・バイ・ワイヤを採用し、Hパターンのシフトレバーを残しながらも電子制御が回転数を滑らかに合わせてくれる。当然、エアコンやわずかながら荷物も積める収納スペースが加わり、乾燥重量は890kg。0-100km/h加速は2.9秒、最高速度322km/hと、サーキット仕様に迫るパフォーマンスをもちながら公道走行可能(英国の場合)なクルマとして製造される。
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T70SとT70S GTの生産予定台数は合計わずか16台。価格は未発表ながら、そのすべてが記念碑的な1台になることは間違いないだろう。