トロけるような乗り心地ってどんな?
ちなみにボディ外寸は先代比で+155mmとなる全長4655mm、全幅は+55mmの1905mm、全高だけは1710mmと変わらないが、水平方向に握りこぶし2個と1個ぐらい広がっている感覚。ホイールベースは旧2730mmから2790mmなので、きっかり6cmも長くなった。決して小さくないどころか、巨躯にミニマルなMHEVパワーユニットという訳だ。
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ところが、走り出して驚くのは、滑らかな加速感と自然な下支えによる力強さだ。優しくアクセルを踏み込めば、30km/h強まではほとんど電気のみで駆動される。そこから先はエンジンが目覚めるが、ICEとの繋ぎはごく滑らかでスムース。
しかもË6-DCSというC5エアクロスで初お目見えの6速ダブルクラッチ式トランスミッションは、のっそりしているどころか、滅法ダイレクトに駆動力を伝える。国産車の1.8~2.5リッター辺りのストロングハイブリッドの影が薄くなりそうな、恐ろしいほどレバレッジの利いたダウンサイジングMHEVで、WLTC燃費は19.4km/L。フランス流のシンプル・イズ・ザ・ベストを究めたパワートレイン、そしてスマートな制御なのだ。
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しかも、バッテリーもエンジンも小さいおかげで軽めの1630kgという車重で、ノーズも軽く低重心。それでいてロングホイールベースなのだから、乗り心地が悪いはずもない。ステラミディアムプラットフォームの良質の骨格に、シトロエンならではの最新世代のアドバンストコンフォートシートとPHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)つまりダンパー・イン・ダンパーが備わる。とくに80~120km/h辺りの、極上のストローク感を伴う上品なライドフィールは、まさしく魔法の絨毯と呼ぶべきものだ。
ホイールハウスやフロアまわりからも、ノイズらしいノイズが入って来ない。ビッグ・シトロエン伝統の、大らかな直進安定性の良さははっきり感じられつつ、ハンドリングはステアリングを切り込むほどに小気味よく応じてくれる、あの感覚も失われていない。
全体としていえることは、簡潔だが練り込まれた簡潔さだからこそ、プレミアムとか高級なだけではない、上質感に貫かれていること。後席は足もとスペースが広いだけでなく、シートのアドバンストコンフォートぶりも先代より増して、車格的にも乗り心地の点でも、ほとんどDセグ領域にある。
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しかもクロームメッキで質感を増すようなコンベンショナルなデザインではないのに、フロントまわりやサイドにあしらわれた淡いゴールド系のインサートが控えめな華やかさを添える。それでいて内装で身体に触れる部分の質感は柔らかく、走行時の感覚もごくソフトだが、ちゃんと芯がある。視覚と触覚、さらにドライバビリティといった走行時の感覚まで含め、統一感があるのだ。
こうしたスペックだけでは測れない価値を、どこまで評価するか? 価格は「PLUS」が535万円~、「MAX」が570万円~。新型C5エアクロスは判断をユーザーに委ねるようで、その質を試してくるところがある、そんな一台だ。
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