報道されたトヨタの「モデルサイクル延長」のナゼ? 「SDV化」でクルマも長寿時代到来か

この記事をまとめると

■トヨタがモデルサイクルの延長を検討しているという報道があった

■モデルサイクスの延長の要因となっているのはクルマのSDV化だ

■ハードウェアとしてのクルマの耐久性と買い替えサイクルのバランスが焦点となる

クルマはハードウェアではなくソフトウェアで進化する時代

 一部報道で、トヨタがモデルサイクルの延長を検討していると報じられた。7年程度を9年程度に伸ばすという内容だ。本件については、現時点でトヨタから正式な発表はない。そのため、あくまでも一般論として、なぜいまモデルサイクルの延長に自動車産業界の注目が集まるのかを考えてみたい。

 もっとも大きな要因は、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)への転換であろう。直訳すると「ソフトウェアによって定義されたクルマ」なのだが、自動車産業界においてSDVに対する明確な定義はない。自動車メーカーごと、または自動車部品メーカーごと、さらには同じ会社にいるエンジニアや企画担当者でも、SDVに対する考え方が違う場合が珍しくない状況だ。

 そのうえで、大まかにSDVが自動車の設計・開発・量産の主流になっていくと、ハードウェアのライフサイクルが長くなり、そのなかでソフトウェアが書き換えられることで、走行性能や車内エンタメ機能がアップデートされることになる。

 では、現状で7年程度からどの程度まで延長することが、自動車メーカーにとって理想的なのだろうか。ここには技術面と営業面、ふたつの要素があると思う。

 技術面では、ハードウェアの耐久性の問題だ。クルマの心臓部であるパワートレインやクルマの骨格であるシャシーについては7年程度では大きな問題が起こることがないよう基本設計されている。ただし、メーカー保証については、トヨタの場合、エアコン・カーナビ・オーディオなどの一般保証が3年または走行距離6万kmまで。エンジンやステアリングなどは5年または走行距離10万kmまで。さらに必要に応じて、延長保証に加入することになる。

 むろん、こうした保証期間を超えても消耗品を定期的に交換することで大きな問題が生じないように販売店や修理工場では対応している。そうしたなかで、使用環境は国や地域、そしてユーザーによってクルマの使われ方にかなりの差があるとはいえ、基本的なハードウェアの耐久力を考えると、やはり10年が目処だと思う。

 営業面では、乗用車での車検で考えると、7年の次は9年での買い替えという発想になる。

 なお、日本自動車工業会が公開した2023年度乗用車市場動向調査によれば、新車の平均保有期間は7.7年で、10年超は全体の約2割に及ぶ。

 はたして、トヨタを含む日本の自動車メーカー各社は、乗用車のモデルサイクルを今後、さらに延長する事業戦略に打って出るのであろうか。今後の市場動向を注視したい。


この記事の画像ギャラリー

桃田健史 MOMOTA KENJI

-

愛車
トヨタ・ハイエースキャンパーアルトピア―ノ等
趣味
動物たちとのふれあい
好きな有名人
聖徳太子(多くの人の声を同時にしっかり聞くという伝説があるので)

新着情報