発生したCO2を自ら回収してしかも農業に活用って凄くないか? スズキの軽トラ「カーボンキャプチャー・キャリイ」に地球の未来をみた (2/2ページ)

CO2を回収するだけでなくどう再利用するかも課題

 大まかなシステムは、マフラーから排ガスを取り入れ、排ガス中の水分を2段階で除去したあとに、ゼオライト系の固体吸着剤を使ってCO2を回収するというもの。会場で説明員の方に、その能力を質問したところ、20kmの走行につき1kgのCO2を回収できるという。スーパーキャリイの燃費性能から計算すると、20km走行で2~3kgのCO2を排出しているから、かなりの割合で回収できていることになる。

 しかし、スズキのカーボンキャプチャーシステムにおけるポイントは、こうして回収したCO2を、ユーザーレベルで放出できるシステムにしている点にある。

 言わずもがな、軽トラのヘビーユーザーといえば農業従事者が思い浮かぶ。そして、多くのハウス栽培では農作物の成長を促すためにCO2濃度を上げている。そのために化石燃料を燃やしているという事実もあったりする。

 そこでスズキが考えたのは、スーパーキャリイで回収したCO2を、そのままビニールハウス内に放出するソリューションだ。そのためにハウスにつながる配管につなぐだけで、ユーザーの操作によって回収装置からCO2を放出できるよう仕上げているという。

 前述したように、スーパーキャリイに搭載されたCO2回収装置は荷台をほとんど犠牲にしていない。つまり、作物の出荷など日常業務に軽トラを使いつつ、そこで発生したCO2を作物の成長促進に活用するという一石二鳥の循環システムが構築できるのだ。

 CO2回収装置とカーボンニュートラル燃料(CNF)を組み合わせて、トータルではCO2を減らすカーボンネガティブを実現することは、エンジン車ができる地球温暖化対策としては最上級レベルといえる。

 しかも、スズキが軽トラに搭載したシステムにおいては、回収したCO2の活用という出口戦略もしっかり考え抜かれている。「カーボンキャプチャー・キャリイ」は、まさしくカーボンキャプチャー、カーボンネガティブに向けた、2026年時点での最適解といえそうだ。

 こうした技術の発展と、一日もはやい量産・市販化に期待したい。


この記事の画像ギャラリー

山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

新着情報