フェラーリが「海」に進出! レース技術を注ぎ込んだ超ハイテクヨットは2026年中に進水予定!!

この記事をまとめると

フェラーリ初の本格ヨット開発計画が進行中だ

■再生可能エネルギーのみで航行する革新的設計

■ル・マン参戦マシンである499Pの技術思想を海上へ展開する

フェラーリが培ってきた技術の新たな応用例

 高級自動車メーカーがその高いブランド価値のために、クルマ以外の製品を手がけることは珍しくない。時計や香水、アパレル製品のみならず、近年ではヨットをリリースするメーカーも見られる。レクサスやマセラティなどの参入が代表的だが、新たに大御所が船舶の領域に足を踏み入れた。

 フェラーリが発表した「ハイパーセイル(Hypersail)」は、同社初の本格的ヨット開発プロジェクトだ。その名称は、フェラーリがWEC(世界耐久選手権)で3度のル・マン24時間優勝を成し遂げた「499P」が出場するハイパーカー規定へのオマージュから来ている。

 ハイパーセイルの設計を担当したのは、フランス人の船舶設計家ギヨーム・ヴェルディエ。全長100フィート(約30メートル)という船体は、世界初の100フィート級フライング・オーシャン・モノハル、すなわち海面上に船体を浮かせるフォイル機構をもつ単胴型外洋ヨットとして設計されている。

 最大の特徴は「3点接触」と呼ぶ斬新な設計だ。傾動式キールが1基のフォイルを支え、残る2基の接触点は舵に装着されたフォイルと、交互に機能する左右2基の側方フォイルで構成される。波の動きに応じてこれらのフォイルがバランスを取り合いながら船体を安定させ、水面上を飛ぶように疾走するのだ。

 驚かされるのは、この船に内燃機関が一切搭載されないことだ。ハイパーセイルでは、フォイル制御システム、コンピュータ、計器類にいたるすべての電力を、太陽光・風力・運動エネルギーという再生可能エネルギーのみで自律的に生成する。デッキに統合されたソーラーパネルは、航行中の太陽光条件を詳細に分析した結果に基づいて配置され、乗員が踏んでも滑らないグリップ素材で仕上げられている。途中停泊なし、外部支援なしで世界一周をも視野に入れた設計だ。

 テクノロジーという面では、フェラーリが自動車開発で磨いた技術がいかんなく転用されている。エアロダイナミクス解析、エネルギー効率、パワーマネジメント、運動エネルギー回生など、499Pのル・マン挑戦で蓄積された知見が、フォイル制御システムや航行制御システムの開発にそのまま活かされている。

 そして2026年4月21日のミラノ・デザインウィークで公開されたのが、ハイパーセイルのリバリーデザインだ。船体の主材料はカーボンファイバーで、その素材色を活かした新色「グリージョ・ハイパーセイル」をベースに、フェラーリの第2の魂とも称される「ヌオーヴォ・ジャッロ・フライ」が大胆にあしらわれる。

 この黄色の由来は古く、かつてのフェラーリドライバーであるルイジ・ムッソの未亡人フィアンマ・ブレスキ氏の発想が起源とされ、初めて275GTBに採用されて以来フェラーリのアイデンティティのひとつとなってきた。

 フラヴィオ・マンゾーニ率いるフェラーリ・デザインスタジオが描いた船体ラインは、モンツァSP1/SP2の純粋なプロポーションを想起させ、キャビン外装には499Pのグラフィック構造が投影されている。ハイパーセイルは、2026年の進水・初期試験航行に向けて、現在イタリアで建造が進んでいる。海の上に跳ね馬が走るという、まだ誰も見たことのない光景を見るのが楽しみだ。


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